ロベール・ボワイエ
横田宏樹=訳 山田鋭夫=監修
四六上製 328ページ
ISBN-13: 9784865780871
刊行日: 2016/09
レギュラシオンの旗手による世界への提言! 「さまざまな不平等レジームの相互依存」
レギュラシオニストによる初の体系的・歴史的な“日本の不平等分析”も収録、不平等の縮小に向けた政策を提案!
ピケティ『21世紀の資本』の不平等論における貢献と限界を示し、不平等論へのレギュラシオン的アプローチの可能性を提示!
目次
日本の読者へ
第1章 アメリカにおける経営者報酬の高騰
――そのミクロ的およびマクロ的分析
第2章 ピケティ『21世紀の資本』を読む
第3章 不平等レジームの世界的多様性と相互依存性
――中国、アメリカ、ヨーロッパ、そしてラテンアメリカ
第4章 デンマーク型フレキシキュリティからの教訓
――ヨーロッパ型福祉国家の動揺と模索
第5章 日本型不平等レジームの変容と独自性
結 語
訳者解説/参考文献/図表一覧
関連情報
◎本書はレギュラシオン理論の誕生以来、学派の中心をなしてきたボワイエ氏による体系的な不平等論の書でもある。そしてここに、ピケティとは異なる不平等分析に対するレギュラシオン的アプローチの一つの方向性を見てとることができる。
◎生産、資本、金融のグローバリゼーションによる開かれた国境のなかで、これらの多様な不平等レジームが相互に関連し合っている。したがって著者は、「不平等のグローバリゼーション」に取って代わる「さまざまな不平等レジームの相互依存」という新しい概念を提示しようとする。これこそがピケティに対する著者の返答であり、そして不平等論へのレギュラシオン的アプローチのオリジナリティの一つなのである。つまり、ピケティがその著書で提示した世界的な累進資本税という普遍的な政策は、国民的領域に応じて不平等の構図が多様であるために、そのままでは何の解決策にもならないのだ。
(訳者解説より)
●ロベール・ボワイエ(Robert Boyer)
1943年生。パリ理工科大学校(エコール・ポリテクニック)卒業。数理経済計画予測研究所(CEPREMAP)および国立科学研究所(CNRS)教授,ならびに社会科学高等研究院(EHESS)研究部長を経て,現在は米州研究所(パリ)エコノミスト。
著書に『レギュラシオン理論』『入門・レギュラシオン』『第二の大転換』『現代「経済学」批判宣言』『世界恐慌』〈レギュラシオン・コレクション〉『1 危機――資本主義』『2 転換――社会主義』『3 ラポール・サラリアール』『4 国際レジームの再編』(共編著)『資本主義vs資本主義』『ニュー・エコノミーの研究』『金融資本主義の崩壊』『ユーロ危機』(以上いずれも藤原書店)『レギュラシオン』(ミネルヴァ書房)などがある。
●横田宏樹(よこた・ひろき)
1977年生。旭川大学准教授。パリ第13大学博士課程,CEPN(パリ北大学経済研究所)。企業理論。訳書に,アマーブル『五つの資本主義』(共訳)他。学会報告に「レギュラシオン理論の企業論に向けて」進化経済学会部会 2005年7月,他。
●山田鋭夫(やまだ・としお)
1942年生。現在,名古屋大学名誉教授。名古屋大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。理論経済学。著書に『さまざまな資本主義』(藤原書店),『金融危機のレギュラシオン理論』(共著,昭和堂)他。共編書に『戦後日本資本主義』(藤原書店)他。