- 竹山道雄
- 平川祐弘 編
- 四六上製 576ページ
ISBN-13: 9784865780949
刊行日: 2016/10
発刊! 今こそ求められる「真のリベラリスト」の論考を精選。
名著『ビルマの竪琴』の著者を貫いていた思想とは?
ナチズム・軍国主義から共産主義独裁体制まで、左右を問わず狂信的思想・政治を鋭く批判し続けた竹山道雄から、今、何を学ぶか。
[解説]秦郁彦
[竹山道雄を読む]牛村圭
【本セレクションの特徴】
◎単行本・著作集に未収録の論考を積極的に収録。
◎現代的意義の大きい論考は、著作集からも精選して収録。
◎竹山を知る論者による「解説」と、より若い世代による「竹山道雄を読む」を掲載。
目次
総序 平川祐弘
第Ⅰ巻序 平川祐弘
第Ⅰ部 昭和の精神史
昭和の精神史
将軍達と「理性の詭計」
ハイド氏の裁判
天皇制について
国体とは
昭和史と東京裁判
第Ⅱ部 一高と戦争
昭和十九年の一高
若い世代
春望
第Ⅲ部 ナチス・ドイツを凝視する
独逸・新しき中世?
失われた青春
幻影
国籍
第Ⅳ部 戦後日本の言論空間
台湾から見た中共
ペンクラブの問題
時流のファナチズム
〈解説〉「竹山史観」の先駆性 秦郁彦
〈竹山道雄を読む〉竹山道雄にめぐり会えて 牛村圭
関連情報
一体何が昭和十年代の日本を動かしたのか。一見素人に見える竹山の手になる『昭和の精神史』が、広く読まれ、この分野でもっとも注目される作品となったのは、それが唯物史観とは異なる軍国日本のメンタリティーの分析として、目配りがよく、考え抜かれ、説得力があるからであろう。
昭和の戦争とは何であったのか。なぜ戦争に追い込まれたのか。そういう竹山自身の切実な探索や自問自答が昭和の精神史を解き明かそうとする原動力となっている。竹山は自分の眼で見、自分の頭で判断した。
(第Ⅰ巻 編者序より)
●竹山道雄(たけやま・みちお/1903-1984)
1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『文藝春秋』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流されない執筆活動を続ける。
著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。
1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。
●平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931年東京生。比較文学比較文化。東京大学名誉教授。
竹山道雄の女婿にあたる。著書に『和魂洋才の系譜』『西欧の衝撃と日本』『マッテオ・リッチ伝』『小泉八雲』(サントリー学芸賞)『ラフカディオ・ハーン――植民地化・キリスト教化・文明開化』(和辻哲郎文化賞)『天ハ自ラ助クルモノヲ助ク――中村正直と〈西国立志編〉』『アーサー・ウェイリー『源氏物語』の翻訳者』(エッセイスト・クラブ賞)『ダンテ『神曲』講義』『内と外からの夏目漱石』『竹山道雄と昭和の時代』など、訳書にダンテ『神曲』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』(読売文学賞)他多数。
2016年より『平川祐弘決定版著作集』全34巻(勉誠出版)刊行予定。