- アレクサンドル・クラーノフ
- 村野克明 訳
- 四六上製 432ページ
ISBN-13: 9784865781038
刊行日: 2016/12
ロシア・スパイたちの目から見た戦前/戦後の「東京」の裏面史!
格闘技「サンボ」の創始者オシェプコフ、諜報団を率いたリヒャルト・ゾルゲ、そしてソ連の探偵小説の先駆者ロマン・キム……本人・関係者の文章と公的資料を駆使し、ロシア/ソ連という国家の転変に翻弄されたスパイたちの数奇な運命を描き、「東京」という都市に残されたその痕跡を著者自身の足で辿り直した、異色のドキュメント。
目次
日本の読者へ
序文
第1章 ワシーリー・オシェプコフ――格闘技「サンボ」の創始者
1 伝記の始まり
2 赤 坂
3 墓場の端っこでのロマン
4 講道館
5 万世橋駅前の記念碑
6 東京復活大聖堂(「ニコライ堂」)
7 ロシア帝国大使館
8 アジト、非合法の会合
9 伝記の結末
第2章 リヒャルト・ゾルゲ――諜報団の首魁
1 伝 記
2 東京のホテルのバーで
3 自宅のゾルゲ
4 バイク乗り、衝突事故を起こす
5 みんなから見える場所で
6 「ケテル」の黄金
7 「フレダーマウス(こうもり)」の胎内から「富士」の高みへ、そして「アジア」へ
8 六本木の外国人とその友たち
9 死、愛、不朽――巣鴨監獄から多磨墓地まで
第3章 キン・キリュー(ロマン・キム)――ソ連流国際探偵小説の元祖
1 伝 記
2 大学のある首都(東京)で
3 爆破された都市
第4章 忘れられたスパイたちの足跡を求めて――戦後の東京で
1 雪降る中を逃亡したラストヴォロフ
2 大仏を「寝かせた」コーシキン
3 「スパイ気取り」のプレオブラジェンスキー
4 「ディンドン」にやって来たレフチェンコ
訳者あとがき
本書関連略年表(1860-2005)
主要引用・参考文献一覧
主要人名索引
主要地名索引
関連情報
柔道をルーツとする格闘技「サンボ」の創始者ワシーリー・オシェプコフ、「ゾルゲ事件」で日本でも名高いリヒャルト・ゾルゲ、ソ連の探偵小説の先駆者として注目が高まっているロマン・キム、さらに、主として戦後に活動した四人の諜報員たち。
小伝によって彼らの人物像をコンパクトに紹介すると共に、彼らや関係者の書き残したもの、さらに公文書の記録から、麻布、青山、銀座、日比谷、新橋、御茶ノ水など、現代の東京にその足跡を再現し、著者自身が訪ね歩く。
われわれの見慣れた東京という都市の背後に、ロシア・ソ連のスパイたちの見たこの町が、二重写しになる。
【著者紹介】
●アレクサンドル・クラーノフ(Александр Куланов)
1970年モスクワ州生まれのロシアの日本学者、作家、ジャーナリスト。ヤロスラーヴリ高等軍事財務学校を卒業後、空挺部隊に勤務。1998年から日本研究に従事。1998-2000年に『今日の日本』誌、2000-02年に『外交官』誌の通信員を務める。2002-03年、東京大学大学院で「ロシアと日本のイメージの比較分析」の研究に取り組んだ。現在、『毎日新聞』付録の『ロシア NOW』と、ロシアのウェブ・サイト『謎の日本』のコラムニストとして活動中。
【訳者紹介】
●村野克明(むらの・かつあき)
1952年、東京都生まれ。1977年、札幌大学外国語学部ロシア語学科卒業。1983年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程中退。
翻訳書に、モロジャコフ『ジャポニズムのロシア』(藤原書店)(第1回寺田真理記念日本研究賞の奨励賞を受賞)、オールコック他『富士山に登った外国人』(山本秀峰氏と共訳、露蘭堂)、ブリノフ『原子力砕氷船レーニン』(黒澤昭氏と共訳、成山堂書店)。
翻訳論文に、モロジャコフ「ロシアと日本――紛争の時代における協力1905-45」(『環』vol. 52、藤原書店、所収)。
論文「大竹博吉 略歴と資料」(『日露異色の群像30』に所収、東洋書店)。
なお、現在、『出版ニュース』誌に不定期にロシア書籍の紹介記事を執筆。