- 竹山道雄
- 平川祐弘 編
- 四六上製 616ページ
ISBN-13: 9784865781137
刊行日: 2017/02
単行本未収録の貴重なコラムを初めて集成した、読者必携の一巻。
本多秋五・富士川英郎・本間長世・高橋英夫各氏の「竹山道雄論」を特別収録
[解説]平川祐弘
[竹山道雄を読む]大石和欣
(都合により第3巻を最終配本に変更し、年譜・著作一覧を第3巻に収録します)
【本セレクションの特徴】
◎単行本・著作集に未収録の論考を積極的に収録。
◎現代的意義の大きい論考は、著作集からも精選して収録。
◎竹山を知る論者による「解説」と、より若い世代による「竹山道雄を読む」を掲載。
目次
第Ⅳ巻序 平川祐弘
第Ⅰ部 心の軌跡
知られざるひとへの手紙/思い出/あしおと/磯/砧/
亡き母を憶う/寄寓/きずあと/樅の木と薔薇/
主役としての近代/焼跡の審問官
第Ⅱ部 死について
死について/ものの考え方について――演繹ではなく本質直観を
第Ⅲ部 単行本未収録コラム集
自分の亡魂/むかしの合理主義/歴史と信仰の解明を/
ビルマから東パキスタンへ――二つの会議に参加して/
キリスト教への提言――説得力に欠けはしないか/
人権のため人権侵害/文化自由会議に出席して/片山敏彦さんのこと/
亡き三谷先生のこと/私の八月十五日/私の戦争文学/
明治百年と戦後二十年/突然の死――帰るべきところに帰る覚悟/
オランダ通信/甘い態度は捨てよ――大学の存亡かけ戦う時/
鎌倉・人工の浸食/めぐりあい/死ぬ前の支度/
新聞連載コラム
(『東京新聞』1961年、『読売新聞』夕刊1966~67年、『サンケイ新聞』1965~66年)
〈竹山道雄論〉
高橋英夫「理性のスケープ・ゴート」
本多秋五「肩越しに時代をみる」
本間長世「教育者としての竹山先生」
関連情報
本巻には竹山の心の軌跡を示す文章やものの考え方そのものを論ずる文章とともに、従来の著作集・単行本におおむね収録洩れとなっていたコラムの類も拾った。教養人竹山の反専制主義のコラムは、いま読んでも爽やかで不思議に今日的な意味をもつ。
戦後は左翼専制主義をその現場を訪ねた上で批判した。それらが竹山の本道を行く論であるとするならば、竹山の「話の小銭」が新聞コラムとなったといえよう。竹山の「話術のうまさにいたっては、文章がうまいなんぞという段ではない、ほとんど悪魔的である」と本多秋五は『物語戦後文学史』で舌をまいているが、コラムの一つ一つも捨てがたい作品と化している。
(第Ⅳ巻編者序より)
■著者紹介
●竹山道雄(たけやま・みちお 1903-84)
1903~1984年。1920年旧制第一高等学校入学、1923年東京帝国大学文学部入学、1926年東京帝国大学卒業後、一高の講師となる。20代でベルリン、パリに計3年間留学、帰国後、一高の教授となる。1948年『ビルマの竪琴』(中央公論社)を刊行、毎日出版文化賞を受賞(以後、二度に渡り映画化される)。1950年一高廃止と共にその後身の東京大学教養学部の教授となるが、翌年には辞し、文筆に専念する。『新潮』『芸術新潮』『心』『自由』などを舞台に、「見て・感じて・考える」を根本姿勢とし、時代の風潮に流れない執筆活動を続ける。著書は『古都遍歴』『昭和の精神史』『まぼろしと真実』『剣と十字架』など、芸術論から時論、紀行文など幅広く、ニーチェ『ツァラトストラかく語りき』『善悪の彼岸』イプセン『人形の家』ゲーテ『若きヱルテルの悩み』など優れた翻訳も残す。1983年『竹山道雄著作集』全8巻刊行。
■編者
●平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931年東京生。比較文学比較文化。東京大学名誉教授。竹山道雄の女婿にあたる。著書に『和魂洋才の系譜』『西欧の衝撃と日本』『マッテオ・リッチ伝』『小泉八雲』(サントリー学芸賞)『ラフカディオ・ハーン――植民地化・キリスト教化・文明開化』(和辻哲郎文化賞)『天ハ自ラ助クルモノヲ助ク――中村正直と〈西国立志編〉』『アーサー・ウェイリー『源氏物語』の翻訳者』(エッセイスト・クラブ賞)『ダンテ『神曲』講義』『内と外からの夏目漱石』『竹山道雄と昭和の時代』など、訳書にダンテ『神曲』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』(読売文学賞)他多数。2016年より『平川.弘決定版著作集』全34巻(勉誠出版)刊行中。