- 金時鐘
- [解説]宇野田尚哉・浅見洋子 [解題]浅見洋子
- 四六変上製 400ページ
ISBN-13: 9784865781489
刊行日: 2018/01
植民地下朝鮮から「在日」を生きぬく、詩人であり思想家。その思索の全て!! 待望のコレクション、発刊!
その詩のすべてと、随筆や評論、講演、そして「金時鐘論」までを集成し、満を持して刊行される珠玉のコレクション!!
第二詩集『日本風土記』、出版かなわぬまま途絶し散逸した『日本風土記Ⅱ』が復元されて収められた、待望の巻。在日朝鮮人組織からの批判と、日本社会からの差別のはざまに屹立する、力強い詩の数々。
作品の背景をつぶさに語る〈著者インタビュー〉を収録!!
[解説]宇野田尚哉・浅見洋子
[解題]浅見洋子
[月報]石川逸子/たかとう匡子/金鐘八/河津聖恵
[推薦]鶴見俊輔・辻井喬・金石範・高銀・吉増剛造・四方田犬彦・鵜飼哲・佐伯一麦
目次
日本風土記
南京虫
犬のある風景
政策発表会
木 靴
除 草
インディアン狩り
長屋の掟
淀川べり
家 出
夜の街で
浦戸丸浮揚
盲管銃創
的を掘る
かもの群れ
たしかにそういう目がある
謝肉祭 ――葬ってはならないその死者はものが言いたいのだ
発情期
無風地帯
ぼくがぼくであるとき
裏 庭
鍵を持つ手
日曜日
日本の臭い
道路がせまい
若いあなたを私は信じた
ニュールック
無風地帯 ――Rにおくる
表 彰
運 河
一万年
処分法
白い手 ――オルゴールよ、君はなぜ一ふしの歌しかしらないの?
私の家
猪飼野二丁目
あとがき
復元詩集 日本風土記 Ⅱ
見なれた情景
カメレオンのうた
種族検定
歯の条理
労働昇天
穴
目撃者
木綿と砂
哄 笑
海の飢餓
わが性 わが命
究めえない距離の深さで
雨と墓と秋と母と ――父よ、この静寂はあなたのものだ
犬を喰う
究めえない距離の深さで
秋の夜に見た夢の話
春のソネット
春はみんながもえるので
しゃりっこ
籤に生きる
道(洪じいさん)
檻を放て!
立ち消えになった『日本風土記Ⅱ』のいきさつについて 金時鐘
――あとがきにかえて――
〈インタビュー〉至純な歳月を生きて――『日本風土記』から『日本風土記Ⅱ』のころ
一 現代詩運動との結びつき
二 未刊行詩集『日本風土記Ⅱ』
三 未発見の詩、九篇をめぐって
四 『新潟』との関わり
五 その後の詩集への広がり
(聞き手)細見和之・宇野田尚哉・浅見洋子
〈解説1〉『日本風土記』論――許南麒『朝鮮海峡』との比較を中心に 宇野田尚哉
〈解説2〉未刊行詩集『日本風土記Ⅱ』とその時代 浅見洋子
〈解題〉日本風土記/日本風土記Ⅱ 浅見洋子
関連情報
●金時鐘 (キム・シジョン)
1929年(旧暦1928年12月)朝鮮釜山に生まれ、元山市の祖父のもとに一時預けられる。済州島で育つ。48年の「済州島四・三事件」に関わり来日。50年頃から日本語で詩作を始める。在日朝鮮人団体の文化関係の活動に携わるが、運動の路線転換以降、組織批判を受け、組織運動から離れる。兵庫県立湊川高等学校教員(1973-92年)。大阪文学学校特別アドバイザー。詩人。
主な作品として、詩集に『地平線』(ヂンダレ発行所、1955)『日本風土記』(国文社、1957)長篇詩集『新潟』(構造社、1970)『原野の詩――集成詩集』(立風書房、1991)『化石の夏――金時鐘詩集』(海風社、1998)『金時鐘詩集選 境界の詩――猪飼野詩集/光州詩片』(藤原書店、2005)『四時詩集 失くした季節』(藤原書店、2010、第41回高見順賞)他。評論集に『さらされるものと さらすものと』(明治図書出版、1975)『クレメンタインの歌』(文和書房、1980)『「在日」のはざまで』(立風書房、1986、第40回毎日出版文化賞。平凡社ライブラリー、2001)他。エッセーに『草むらの時――小文集』(海風社、1997)『わが生と詩』(岩波書店、2004)『朝鮮と日本に生きる』(岩波書店、2015、大佛次郎賞)他多数。