- 山田 鋭夫・植村 博恭・原田 裕治・藤田 菜々子
- A5上製 392ページ
ISBN-13: 9784865781793
刊行日: 2018/06
21世紀の日本の“社会科学”は、“市民社会論”の再検討から始まる。
民主主義が衰退し、社会経済的な不平等が拡大している今、戦後日本における“市民社会”の実現に向けて、内田義彦、都留重人らとその継承者が経済学、社会科学においてどのような価値を提示したかを探る。
目次
序 章 民主主義と市民社会 山田鋭夫
――市民社会論の現代化にむけて――
第1章 内田義彦における市民社会 山田鋭夫
――交換的平等と人間的平等のあいだ――
第2章 市民社会論継承の二つの視角 山田鋭夫
――平田清明と望月清司――
第3章 現代資本主義論と制度派ケインズ経済学 植村博恭
――経済学の群像とその知的遺産――
第4章 市民社会と福祉社会 藤田菜々子
――新しい福祉国家の理念と政策――
第5章 レギュラシオン理論と日本経済分析 山田鋭夫/植村博恭
――企業主義的調整様式の盛衰と成長体制の転換――
第6章 資本主義の多様性へのレギュラシオン・アプローチ 原田裕治
――信頼・制度・市民社会――
第7章 ボウルズとボワイエにおける「市民」と「市民社会」 植村博恭
――社会認識と社会科学分析との現代的総合――
第8章 経済学の現在とレギュラシオン理論の可能性 植村博恭
――制度派経済学とケインズ経済学の理論的連携にむけて――
終 章 市民社会民主主義とレギュラシオンの政策思想 植村博恭
――公正な市場と豊かな労働・生活にむけての制度構築――
あとがき/参考文献
関連情報
日本はすでに戦後七十余年を経過し、いま世界システムと世界的潮流の転換に直面して、大きな岐路にたっている。これまでの一国経済成長志向の発展は限界をむかえ、成長するアジアとともに経済統合が進みつつある。欧米とアジア、その中での日本のあり方――ふたたびそこに日本が自覚すべきあらたな課題がある。
われわれは今日、いかなる思想をもって二一世紀日本の社会と経済を認識し、将来を展望したらよいのか。本書では、戦後日本の社会思想的原点である市民社会論にたちもどり、将来への針路をみきわめたい。
そのさい市民社会の思想を、日本とアジアの経済社会を分析できる理論へと、また現実的な政策を提起できる構想力へと、つなげていく努力が必要とされている。
(本書「序章」より)