- 鶴見和子 著
- 四六上製 336頁 口絵1頁
ISBN-13: 9784865781809
刊行日: 2018/7
生誕百年記念復刊!
未公刊の「『天皇皇后謁見』秘話」、および最晩年の著作『いのちを纏う』をめぐるシンポジウム(川勝平太・志村ふくみ・西川千麗 各氏)を大幅増補した決定版!
目次
「天皇皇后謁見」秘話――鶴見和子インタビュー(2004年9月19日) ※
鶴見和子 追悼行事開催記録(2006-2018) ※
序
1 遺 言
姉・鶴見和子の病床日誌(2006年5月31日-7月31日)(内山章子)
2 最終講演
斃れてのち元まる――命耀くとき
はじめに
老・病・死の季節の中で 短歌を杖に生還する
一 「回生」の歩み
自然との一体感 死者と生者 自然から学ぶ
人間一人ひとりが小さな宇宙 死ぬとは 生きるとは
二 遺すことば
憲法九条 南方熊楠とクストー
おわりに――未来に向けた曼荼羅の思想
3 思 想
弱者の立場から日本を開く
私の回生――シンポジウム「生命のリズム」から
静の足跡を辿って
きもの文化と自前の思想
諸文明の対話の思想、曼荼羅
水俣の回生
歌を杖として
* *
江戸の精神エネルギーに学ぶ(対談・田中優子)
4 時 論
鶴見和子の言いたい放題
一 権力者に対する寛容は美徳か?
二 「反日的分子」と「非国民」
三 政治家の責任
四 国は破れても文化は遺れ
五 「日の丸・君が代」の強制に想う
六 小泉首相の靖国神社参拝に思う
七 「不戦」の誓い
八 もやい直し
九 老人リハビリテーションの意味
* *
国連外交と日本の立場(対談・緒方貞子)
〈附〉カイロのお金――後藤新平のアジア経綸
〈インタビュー〉 祖父・後藤新平のアジア経綸
〈インタビュー〉 ジョルジュ・サンドの回想 ※
〈補〉〈シンポジウム〉 いのちを纏う――色の思想/きものの思想 ※
(パネリスト=川勝平太、志村ふくみ、西川千麗)
編集後記(増補新版) ※
初出一覧
鶴見和子著作一覧(1999-2018)
関連情報
近代化論を乗り超えるべく提唱した“内発的発展論”。また日本初のエコロジストとして南方熊楠を捉え、“異なるものが異なるままに”ともに生きるあり方を“南方曼荼羅”として読み解き、各々の内発的発展を曼荼羅の中に配置する――強者‐弱者、中心‐周縁、異物排除の現状と果敢に闘い、私たちがめざす社会の全く独自な未来像を描いた、稀有な思想家の最後のメッセージ。
生誕百年を機に、未公刊の「『天皇皇后謁見』秘話」「ジョルジュ・サンドの回想」、および最晩年の『いのちを纏う』刊行を記念したシンポジウム(出演=川勝平太、志村ふくみ、西川千麗 各氏)を大幅増補して刊行。
(本書より)
著者紹介
●鶴見和子 (つるみ・かずこ)
1918年生。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。66年プリンストン大学社会学博士号を取得。69年より上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所員を務める(82-84年、同所長)。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。15歳より佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う(20歳で花柳徳和子を名取り)。1995年12月24日、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となる。2006年歿。
著書に『コレクション鶴見和子曼荼羅』(全九巻)『歌集 回生』『歌集 花道』『歌集 山姥』『鶴見和子・対話まんだら』(以上、藤原書店)など多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです