- ダニー・ラフェリエール
- 立花英裕=訳
- 四六上製 200ページ
ISBN-13: 9784865781823
刊行日: 2018/07
原爆が炸裂した朝、一組の若い男女が広島の街で愛し合っている。交錯する性と死。もっとも古い神話。
文化混淆の街モントリオールを舞台にした日本女性と黒人男性との同棲生活。人種、エロス、そして死を鮮烈にスケッチする、俳句的ポエジー。
破天荒な話題作を続々と発表し、アカデミー・フランセーズ会員にも選ばれたハイチ出身のケベック在住作家による邦訳最新刊。
目次
一つの季節――日本の読者へ
カーマ・スートラ動物園
爆弾それ自体
マンハッタン・コーシャ
ハーレム・リヴァー・ドライヴ
シスコが見える窓
地球上では私を追いかける者たちがいる
中国猫のあいまいな笑い
終わりなき北京
薄明のベルリン
雨の指をしたローマ
鍵穴から覗く聖ヨハネ
爆弾が落ちる
税関吏ルソー風の風景にナイポールが手を入れる
世の終末は始末の悪い一瞬である
エロシマ
輝かしい未来
訳注/訳者あとがき
関連情報
〈どういうことなのだろう。ある日、ふと、この本を書こうという気になったのだ。一つのイメージが浮かんだ。1945年、原爆が炸裂した朝、一組の若い男女が広島の街で愛し合っている。二人がオーガスムに達した、まさにその時、爆弾が落下した。エロスと「ヒロシマ」。エロシマ。セックスと死。この世でもっとも古い神話。〉
――『吾輩は日本作家である』『ハイチ震災日記』『帰還の謎』(メディシス賞)など、ユーモアと独特の詩情に満ちた作品を発表し、世界的に注目される鬼才の邦訳最新作。
【著者紹介】
●ダニー・ラフェリエール (Dany Laferriere)
1953年、ポルトープランス(ハイチ)生。『プチ・サムディ・ソワール』紙の文化欄を担当していた76年、モントリオール(カナダ)に移住。85年、『ニグロと疲れないでセックスする方法』(邦訳藤原書店)で作家デビュー(89年カナダで映画化。邦題『間違いだらけの恋愛講座』)。90年代にはマイアミに居を移し、『コーヒーの香り』(91年)『甘い漂流』(94年、邦訳藤原書店)『終わりなき午後の魅惑』(97年)などを発表。2002年よりモントリオールに戻り、『吾輩は日本作家である』(08年、邦訳藤原書店)の後、『帰還の謎』(09年、邦訳藤原書店)をケベックとフランスで同時刊行し、モントリオールで書籍大賞、フランスでメディシス賞受賞。2010年のハイチ地震に遭遇した体験を綴る『ハイチ震災日記』(邦訳藤原書店)を発表。2013年アカデミー・フランセーズ会員に選出される。
【訳者紹介】
●立花英裕(たちばな・ひでひろ)
1949年生。フランス語圏文学。早稲田大学教授。共著に、『アジア文学におけるフランス的モデルニテ』(仏文、PUF)など。共編著に、『21世紀の知識人――フランス、東アジア、そして世界』(藤原書店)など。訳書に、ピエール・ブルデュー『国家貴族 ?・?』、ダニー・ラフェリエール『ハイチ震災日記』『ニグロと疲れないでセックスする方法』『吾輩は日本作家である』(藤原書店)など。共訳書に、フリオ・コルタサル『海に投げ込まれた瓶』(白水社)、ブシャール『ケベックの生成と「新世界」』(彩流社)、『月光浴――ハイチ短篇集』(国書刊行会)、エメ・セゼール『ニグロとして生きる』(法政大学出版局)など。2009年、ケベック州政府からアメリカ地域フランコフォン功労賞を受賞。