- 本庶佑 著
- 対談=川勝平太
- B6変上製 240頁
ISBN-13: 9784865782028
刊行日: 2018/12
ノーベル生理学・医学賞受賞記念、緊急出版! “PD-1抗体”発見への軌跡、“基礎研究軽視”への警鐘など、縦横に語る!
「医学的な研究は、長い眼で見て、本当に基礎的なことから思いがけない大きな発見が出る」――本庶佑
「今ノーベル賞をもらっている人は、だいたい10年、20年、30年前の投資効果の結果です。
ですから、今のように科学技術を短期的な視点から見ると、将来が非常に危うい。」
「遺伝子は、不変ではありません。
遺伝子がコピーをつくるときに、必ずまちがいをします。
つねにまちがいをしながら、その集団の中に膨大な多様性を含んでいます。
それが生物というものの安定につながっています。」
目次
序 ノーベル生理学・医学賞受賞にあたって
一 PD‐1抗体発見への道のり――獲得免疫の驚くべき幸運とがん免疫治療
1 免疫学との出会い
2 PD‐1抗体発見への道のり
3 免疫治療の未来に向けて
用語解説
二 幸福の生物学
1 遺伝子と生命
2 進化における遺伝子の選択
3 幸福の要素
三 生命科学の未来(対談) 本庶佑+川勝平太
1 予防医療の推進
2 基礎研究の重要性
3 遺伝子と生命進化
4 生命科学の未来
対談へのあとがき(川勝平太)
本庶佑教授 受賞歴
関連情報
「外科手術」「放射線」「化学療法」につぐ、がんの新しい治療法として期待されながら、なかなか成功しなかった「免疫治療」。
免疫の“アクセルを踏む”という従来の方向性ではなく、“ブレーキを外す”ことで免疫力を高めるという逆転の発想によって、「免疫治療」に大きな成果を生み出した本庶佑氏は、「免疫を抑える働きを阻害することでがんを治療する方法の発見」を理由に、2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
本書では、免疫学との出会い、生物が免疫の多様化を実現する仕組みを解明した画期的研究、ノーベル賞受賞をもたらした抗体の発見に至る軌跡、そして、生命科学が世界的に注目されているなかでの基礎研究への投資の重要性などを、本庶氏が存分に語る。
【著者紹介】
●本庶 佑(ほんじょ・たすく)
1942年生まれ。医学博士。京大医学研究科博士課程修了後、米国のカーネギー研究所、NIHで客員研究員。1974年帰国、東大医学部助手、阪大医学部教授等を経て、1984年京大医学部教授。以降、京大遺伝子実験施設長、京大医学研究科長、医学部長に就任。2005年退官後に京大医学研究科客員教授。2017年5月より京都大学高等研究院特別教授。2018年4月より同副院長。2015年7月より公益財団神戸医療産業都市推進機構理事長。その他、高等教育局科学官、日本学術振興会学術システム研究センター所長、内閣府総合科学技術会議議員、静岡県公立大学法人理事長を歴任。日本学士院会員。1996年恩賜賞・学士院賞、2000年度文化功労者、2012年ロベルト・コッホ賞、2013年文化勲章、2014年唐奨(Tang prize)、2016年京都賞、2018年ノーベル生理学・医学賞など、受賞・受章多数。
著作に、一般読者向けの『遺伝子が語る生命像』(講談社ブルーバックス)、『いのちとは何か――幸福・ゲノム・病』(岩波書店)のほか、専門論文多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです