- フィリップ・モッセ 著
- 原山哲・山下りえ子 訳
- 四六上製 176頁
ISBN-13: 9784865782080
刊行日: 2019/1
「病院中心主義」からの脱却に向けてフランスの医療制度改革から何を学ぶか?
20世紀に大きく拡大した病院を中心とする医療制度が、「効率化」「組織化」に向けて大きく舵を切りつつある今、医療従事者と患者が共に参画する変革の道を探る。
目次
本書を推薦する(マルタン・イルシ)
日本の読者へ
はじめに
序 論
第Ⅰ部 どのように病院は変わったのか?――専門分化から多様化へ
はじめに
1 病院と経済成長――両者の相互的関係
2 供給の多様化
3 国家――支払者であり忠告者である
第Ⅰ部の結論
第Ⅱ部 どのように病院を変えるのか?――契約とプロジェクトをめぐって
はじめに
4 病床数の削減、誤った手順か?
5 ニュー・パブリック・マネジメントの活用
6 施設のプロジェクトからプロジェクトの施設へ
第Ⅱ部の結論
結 論 自律性と多様性
付論 統計からみたフランスの病院システム
訳者解説
引用参考文献
関連情報
●本書を推薦する
フィリップ・モッセは、本書において、1970年代からの公立病院のシステムの発展を完璧に考察し、その組織の経済学的かつ社会学的な解明を行っている。そこで、組織の調整の様式を分析し、公立病院が近年において直面しなければならない課題、プロフェッショナルのチームの集合的な力量の課題について論じている。チームは、効率性の概念を取り込みつつ、プロジェクト、そして契約に基づいて行動することになる。病院が地域、都市に開かれることは、病院にとって新たな見方、新たな役割を見出すこととなるだろう。
(アシスタンス・ピュブリック・パリ病院長 マルタン・イルシ)
著者紹介
●フィリップ・モッセ(Philippe Mossé)
1949年、マルセイユ生まれ。エックス・マルセイユ大学大学院修了(経済学博士)。
フランス国立科学研究所CNRS・労働経済社会学研究所LESTの所長を経て、現在、主任研究員。専門は医療経済学。日仏比較に関心が強く、1998年、慶応大学客員研究員として来日。
日仏共同研究として、Philippe Moss?, Tetsu Harayama et al., Hospitals and the Nursing Profession, John & Libbey, 2011などの共著がある。ジャポニスムへの関心から、印象派のモネをはじめ絵画鑑賞を好む。
【訳者】
●原山 哲(はらやま・てつ)
1979年東北大学大学院文学研究科修了。1979年聖路加看護大学講師、1980年助教授。1986年三重大学人文学部助教授。1987年フランス政府給費留学生としてパリ高等師範学校に留学。1993年久留米大学人文学部助教授、1996年教授。2002年ベルサイユSQY大学院博士(社会学)。2003年東洋大学社会学部教授、2015年より客員研究員。訳書に、ピエール・ブルデュー著『資本主義のハビトゥス』(藤原書店、1993年)等。
●山下りえ子(やました・りえこ)
東洋大学法学部教授(民法・民事法)。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位修得。専攻する民法(損害賠償法)に加えて、国際仲裁ADR、環境法等の研究に従事する。
成年後見に関する国際共同研究として Les Rapports intergénérationnels en France et au Japon: Études comparatives internationales (L’Harmattan,2008)(共著)等がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです