- 楊海英:編/梅崎透/金野純/西田慎/馬場公彦/楊海英/劉燕子
- 四六判上製 328ページ
ISBN-13: 9784865782189
刊行日: 2019/04
“革命”は、中国から世界に広がった。
震源地としての文化大革命(1966-1976)。
ベトナム反戦運動、フランス五月革命、プラハの春、日本の学生運動、そして中国の文化大革命……文革の実情は世界に知られていなかったが、“文革”は世界の1968年に影響を与えた。半世紀を経た今、“世界史における1968年”と文革を考察する。
【カバーソデ紹介】
従来の諸研究はどれも文化大革命を取り上げ、そしてそれと「1968年」との関連性について言及しながらも、中国と世界との関係については、まだ解明されていない課題をわれわれに残した。もし、文化大革命を一つの革命の震源地と見なすならば、世界各国へどのように「揺れ」ていったのか。各国もまた「世界革命のセンター」を自任する中国とどのように共鳴したのか。あるいは呼応せずに、単に架空の連携を想像していたのか。 これらの問題について議論し、解明する必要があろう。(…)
本書に収録された論文から分かるように、私たちは中国の文革を一つの震源地として意識しながらも、常に世界から中国への思想的波及効果にも配慮して、世界史の中の「1968年」、「1968年」を通して見た世界史を再構成しようとしているのである。
(序章より)
目次
序 章 我が宗主国・日本の「1968年」と世界 楊海英
――植民地出身者の視点――
第Ⅰ部 中国の文化大革命
第1章 マオの世界革命――夢と現実 馬場公彦
第2章 表象としての革命、実態としての暴力 金野 純
――文化大革命の両義性をめぐって――
第3章 文化大革命のもう一つの歴史 劉燕子
――ヒストリーとライフ・ヒストリーの交叉――
第Ⅱ部 世界革命
第4章 文化大革命中のモンゴル人ジェノサイド 楊海英
――中国政府の善後処理まで――
第5章 西ドイツの毛沢東主義新左翼 西田 慎
――Kグループを例に――
第6章 マオとアメリカの「第三世界」 梅? 透
――“To Rebel Is Justified”――
関連情報
【著者紹介】
●楊海英(よう・かいえい)
1964年南モンゴルのオルドス生まれ。静岡大学人文社会科学部教授。専門は、歴史人類学。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。主な著書に『墓標なき草原――内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(上下、岩波現代文庫)、『チベットに舞う日本刀―モンゴル騎兵の現代史』(文藝春秋)等多数。