- 中村桂子 著
- [解説]髙村薫
[月報]米本昌平/樺山紘一/玄侑宗久/上田美佐子
- 四六変上製 296頁 口絵2頁
ISBN-13: 9784865782455
刊行日: 2019/10
子どもを考えることは 未来を考えること
「生きる」を“科学”“日常”の両方を備えたまなざしで捉え、やさしい言葉で語りかけてきた中村桂子。
「啓蒙」「教育」でなく「表現」、「人づくり」でなく「ひとなる」として、子どもたちと向き合う。
目次
はじめに
Ⅰ 科学技術時代の子どもたち
1 いま子どもをどういう視点から見るか
2 生きものの科学から子どもを見る
3 二つの世界の子どもを比較する――「やかまし村」と現代
4 私の仲間としての子どもたち
おわりに
あとがき
Ⅱ 子どもが育つということ
1 新しき“知恵の人”をはぐくむ
2 理科教育の基本を考える
3 物語の時代へ
4 子孫に伝えたい生き方――いのち
5 生活の中での子どもをよく見て、子どもの言葉を聞く――加古里子さんと生命誌の出会い
〈特別収録〉心をどうとらえるのか[対談](河合隼雄+中村桂子)
あとがき
初出一覧
[解説]「生命誌」から拓かれる知の世界(髙村薫)
関連情報
◎一つは、おとなと子どもの関係を見ることが重要だというものです。もう一つは、個別の科学技術を取りあげるのではなく、科学技術を支えている価値観に問題があるという視点です。
◎生命科学は、生きものを構造と機能で知ろうとし、分析・還元・論理・客観・普遍を基本とします。それに対し、生命誌は、科学から得られた知識を充分活用しながらなお、生きものは構造と機能以外に関係と歴史を見なければならないとします。そして、総合・直観・主観・多様・個別などを重要と考えます。
◎子どもを考えることはまさに未来を考えることだ。そんなあたりまえの言葉を改めて噛みしめています。(本文より)
【著者紹介】
●中村桂子(なかむら・けいこ)
1936 年東京生まれ。JT 生命誌研究館館長。理学博士。東京大学大学院生物化学科修了、江上不二夫(生化学)、渡辺格(分子生物学)らに学ぶ。国立予防衛生研究所をへて、1971 年三菱化成生命科学研究所に入り(のち人間・自然研究部長)、日本における「生命科学」創出に関わる。しだいに、生物を分子の機械と捉え、その構造と機能の解明に終始することになった生命科学に疑問を持ち、ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く新しい知「生命誌」を創出。その構想を1993 年、JT 生命誌研究館として実現、副館長に就任(~ 2002 年3 月)。早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授などを歴任。
著書に『生命誌の扉をひらく』(哲学書房)『「生きている」を考える』(NTT 出版)『ゲノムが語る生命』(集英社)『「生きもの」感覚で生きる』『生命誌とは何か』(講談社)『生命科学者ノート』『科学技術時代の子どもたち』(岩波書店)『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫)『絵巻とマンダラで解く生命誌』『小さき生きものたちの国で』『生命の灯となる49 冊の本』(青土社)『いのち愛づる生命誌』(藤原書店)他多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです