- 橘木俊詔著
- 四六上製 336頁・口絵8頁
ISBN-13: 9784865782462
刊行日: 2019/10
なぜニッポンは、フランスにかくも恋い焦がれてきたのか?
文学、絵画、音楽、建築、バレエ、映画、ファッション、料理などの文化・芸術、デカルトやパスカルの哲学、ケネーからピケティに至る経済学……いつも“フランス”に片想いと憧れを感じ、心を揺さぶられてきたニッポン。自身もフランスにかぶれた経済学者が、フランスの魅力を余すところなく博捜し、“フランスかぶれ”として在ることの栄光と悲哀を浮き彫りにする意欲作。
目次
はじめに
序 章 フランスに憧れる経緯
1 十九世紀フランスが文化で栄える背景
2 栄華を極めた十九世紀フランス文学と絵画
3 英米へ、独へ、仏への巧妙な区分わけ
4 フランスの小説が日本に与えた影響
第1章 憧れのフランス
1 フランスかぶれの文学
2 フランス文学を学んだ人の活躍
3 もっとも憧れの強かったのは画家
4 フランス音楽は一部の人に強く愛された
5 バレエとレヴュー
6 映 画
第2章 学問におけるフランスの偉大さ
1 哲学はフランスの専売特許である
2 アングロサクソンとは異なるフランスの経済学
3 パリ大学都市で学んだ人々
第3章 政治・軍事・経済の世界で学ぶことはあったか
1 西園寺公望ほか
2 軍人、秋山好古
3 渋沢栄一
第4章 ファッションと料理
1 ファッション
2 日本でパリモードが導入された経緯と、それを発展させた人
3 料 理
第5章 フランスから日本への憧憬
1 マンガとアニメ
2 日本料理の人気
おわりに
参考文献
人名索引
関連情報
〈カバー図版〉岡本一平『一平全集』第8巻(先進社,1929年)口絵より
「巴里には踊り場というのが幾つもある。真に歓楽の巷だ。場附の踊り子が白鳥のような形をして足を高く揚げて踊る。その暇々には周囲に飲んでいる客人達が出て踊る。色紐(テープ)を投げたり風船で叩いたり他愛もない。」(岡本一平がこの絵につけたキャプション)
【本書に登場する〝フランスかぶれ〟な人々】
秋山徳蔵 秋山好古 芥川龍之介 阿部良雄 池内友次郎 池田理代子 石井柏亭 石井好子 石川啄木 磯部四郎 伊藤博文 上田敏 上田安子 内海藤太郎 梅原龍三郎 遠藤周作 大江健三郎 大島渚 大杉栄 大村益次郎 岡潔 岡倉天心 岡田三郎助 荻須高徳 大佛次郎 尾田栄一郎 尾惇忠 小野正嗣 加藤周一 河上肇 川久保玲 河直美 川端康成 河盛好蔵 岸惠子 岸田辰彌 岸田劉生 北里柴三郎 北原白秋 北杜夫 木下杢太郎 九鬼周造 九鬼隆一 熊川哲也 久米桂一郎 黒田清輝 小磯良平 越路吹雪 後藤新平 小林一三 小林秀雄 是枝裕和 西園寺公望 佐伯祐三 坂本龍一 薩摩治郎八 佐藤春夫 渋沢栄一 島崎藤村 白井鐵造 杉野芳子 高田賢三 高村光太郎 竹田省 武満徹 太宰治 太宰施門 辰野隆 田中千代 谷崎潤一郎 田山花袋 丹下健三 千々岩英一 辻佐保子 辻静雄 辻仁成 徳川昭武 徳川慶喜 永井荷風 中江兆民 永瀬正敏 中村真一郎 中谷宇吉郎 中山美穂 長与専斎 西尾益吉 西田幾多郎 根本雄伯 野田又夫 萩原朔太郎 長谷川町子 長谷川泰 鳩山和夫 東久邇宮稔彦 久松定謨 福永武彦 藤島武二 藤田嗣治 前川國男 三島由紀夫 三宅一生 宮崎駿 三善晃 村上信夫 森有正 森鷗外 森下洋子 森嶋通夫 森英恵 モンキーパンチ 安川加寿子 山田顕義 山本芳翠 山本耀司 湯浅年子 横光利一 与謝野晶子 与謝野鉄幹 和田英作 渡辺一夫
【著者紹介】
●橘木俊詔(たちばなき・としあき)
1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学卒業。大阪大学大学院,アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学大学院で学ぶ。Ph. D.(博士号)を同大学より取得。その後フランスに渡り,INSEE(国立統計経済研究所)とOECD(経済協力開発機構)で研究員生活を送る。日本では大阪大学教養部,京都大学経済研究所,経済学部で助教授・教授職。その後同志社大学で特別客員教授を経て,現在は京都女子大学客員教授。京都大学名誉教授,元日本経済学会会長。その間イギリスのエセックス大学,LSE(ロンドン経済政治学院),アメリカのスタンフォード大学で客員教授,ドイツのIFO,ベルリン・マネージメント・センターで客員研究員。
専攻は労働経済学,公共経済学。日本語・英語の書籍は編著を含めて100冊以上。主な著書に,『格差社会』『21世紀日本の格差』『教育格差』『家計の経済学』(岩波書店),『女女格差』『日本人と経済』(東洋経済新報社),『青春放浪から格差の経済学へ』『福祉と格差の経済学』(ミネルヴァ書房),『安心の経済学』『実学教育改革論』(日本経済新聞出版),Confronting Income Inequality in Japan (MIT Press),Wage Determination and Distribution in Japan (Oxford University Press)。フランスに関する著書として,『フランス産エリートはなぜ凄いのか』(中公新書ラクレ)。他に英・仏・日の学術論文多数。
本書において、下記の誤記がございましたので訂正させていただきます。
読者、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
藤原書店編集部
110 頁本文6 行 (誤)エミール・ →(正)エミール・ガレ(以下ツメ)
114 頁本文13 行 (誤)一九一二(明治四十五・大正元)→(正)一九一三(大正二)
116 頁本文6 行 (誤)画風に魅力を感じたが、彼自身がこの画風で仕事をしたという形跡はない。
→(正)画風に魅力を感じていた。
119 頁本文7 行 (誤)日本画万能の時代→(正)日本画がまだやや優勢な時代
119 頁本文14 行 (誤)ブームになっていたので→(正)ブームになりつつあったので
120 頁本文15-16 行 (誤)一九四〇 →(正)一九四九
121 頁本文16行(誤)(昭和四十二)→(正)(明治四十二)
318 頁参考文献追加 東京国立博物館、東京文化財研究所他編(二〇一六)『生誕150年 黒田清輝─―日本近代絵画の巨匠』美術出版社