- 森繁久彌 著
- [解説]片山杜秀
[月報]司葉子/安奈淳/岩代太郎/黒鉄ヒロシ/上條恒彦/富岡幸一郎/森繁建
- 四六上製 488頁 口絵4頁+カラー口絵4頁
ISBN-13: 9784865782752
刊行日: 2020/7
銀幕の天才、最後の文人 森繁久彌さんの集大成、完結!
「五月の薫風が帆一杯に接吻する時、私を乗せたこの四畳半は一切のわずらわしさから私を断って、縹渺とした大洋の上を私の意のままに漂い流れ走ることであろう――そう思うと私は初めて人間らしい人間に立ちかえった想いがしたのである。」(本文より)
★森繁久彌の詩を収録!
〈特別附録〉「森繁らくがき帖 はじのうわぬり」
森繁久彌の詩碑・全仕事一覧
目次
Ⅰ 海よ 友よ――メイキッスⅢ号日本一周航海記
Ⅱ わが愛しの海
Ⅲ 森繁久彌の詩
詩/詩と文/歌詞/俳句
底本一覧
特別附録1 森繁らくがき帖「はじのうわぬり――書画の世界」
特別附録2 森繁久彌の詩碑、色紙
[解説]遅いが勝ちの森繁久彌(片山杜秀)
森繁久彌 全仕事一覧
〈シリーズ完結記念〉森繁久彌さんの肉声
関連情報
碧く澄んだ
広いもの
それは海だ
しかし
それよりも
広いものがある
それは空だ
しかし
それよりも まだ
広いものがある
それが
人の心だ
森繁久彌
【著者紹介】
●森繁久彌 (もりしげ・ひさや)
大正2(1913)年、大阪府枚方市に生れる。2歳の時に父・菅沼達吉が死去。大正9年、母方祖父の姓を継ぎ森繁久彌に。昭和10年、早稲田大学商学部入学。昭和11年、東宝新劇団に入団、解散し東宝劇団歌舞伎、次いでロッパ一座に。昭和14年、NHKアナウンサー試験を経て、満洲の新京中央放送局に勤務。昭和21年、新京で劇団コッコ座を結成、11月帰国。昭和22年、「女優」で映画初出演。昭和24年、新宿ムーラン・ルージュに参加。昭和25年、「腰抜け二刀流」で映画初主演。昭和28年、「半七捕物帳 十五夜御用心」でテレビ初出演。昭和30年、映画「警察日記」「夫婦善哉」大ヒット。昭和31年、ブルーリボン賞、「へそくり社長」で「社長シリーズ」始まる。昭和33年、「駅前旅館」で「駅前シリーズ」始まる。昭和35年、初プロデュースの主演映画「地の涯に生きるもの」。この撮影で「知床旅情」作詞・作曲。昭和37年、森繁劇団の旗揚げで「南の島に雪が降る」上演。昭和42年、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」初演(主演テヴィエ役、昭和61年に900回を迎える)。昭和48年、映画「恍惚の人」大ヒット。昭和59年、文化功労者。平成3年、俳優として初の文化勲章を受章。平成16年、映画「死に花」で最後の映画出演。テレビドラマ「向田邦子の恋文」で最後の演技。平成21(2009)年11月10日死去。12月、国民栄誉賞が追贈。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです