- ジャック・メレール エマニュエル・デュプー 著
- 加藤晴久・増茂和男 訳
- 四六上製 368頁
ISBN-13: 9784865782783
刊行日: 2020/7
赤ちゃんは生まれつき言語能力があるのか?
認知科学の世界的権威、9か国語に訳された名著、待望の新版!
榊原洋一氏評(お茶の水女子大学名誉教授)
「気楽なタイトルに誘われて読みはじめたが、数ページも読まないうちに、これはたいへんな本だと気がついた」
赤ちゃんには生まれつき言語能力があるのか? 認知科学の世界的権威が、実験に基づき、赤ちゃんが生まれつき持っている能力を明快に説く。「赤ちゃん学」読本としても好評の名著。
◎新版序=加藤晴久
目次
新版によせて(加藤晴久)
日本の読者へ
まえがき
Ⅰ 人間の行動を説明する
1 素朴心理学
2 人間機械論
3 学習によって人間になるのだろうか
4 新生児から人間の本性へ
Ⅱ 見ることと聞くこと
1 新生児は目が見えないのだろうか
2 新生児は耳が聞えないのだろうか
3 カテゴリー
Ⅲ 世界とモノ
1 空 間
2 モ ノ
Ⅳ 自己と他者
1 身体と他者
2 他者の思考
Ⅴ 言語の生物学的基礎
1 チンパンジーは話せるか
2 言語と知覚障害
3 言語器官
4 赤ん坊はどのようにして言語に到達するのか
結論 人間性と認知科学
1 生気論の終焉
2 合理主義の復活と人間の恒常性
訳者あとがき/原注/参考文献/索引
著者紹介
●ジャック・メレール(Jacques Mehler)
1936-2020。スペインのバルセロナに生まれたが、早くアルゼンチンに移住し、58年にブエノスアイレス大学で化学の学士号を取得した後、イギリスのオクスフォード大学を経て、ロンドン大学で理学士号を取得。その後アメリカに渡り、ハーバード大学の認知研究センターの研究助手に就任、心理学の学位を取得。65年から67年にかけてマサチューセッツ工科大学心理学科の研究員として過ごし、認知科学の誕生の場に立会い、認知科学をフランスに導入した先駆者。67年、フランス国立科学研究機構(CNRS)研究員に採用。82~2002年、フランス社会科学高等研究院教授、86~98年、国立科学研究機構の認知科学・心理言語学研究所所長。さらにフランス内外の多数の大学で教育研究活動を行なうと同時に、83年以降、MIT認知科学センターの協力研究員。ヨーロッパを代表する認知心理学の学術誌とし
て定評のあるCOGNITION, International Journal of Cognitive Psychologyの精力的な主幹でもあった。
●エマニュエル・デュプー(Emmanuel Dupoux)
1964年パリ生まれ。エコル・ノルマル・スュペリユール卒業後、89年にメレールの指導の下、認知心理学の学位を取得。現在は社会科学高等研究院で、認知科学・言語心理学研究室の主任教授。メレールと同じく、ラトガーズ大学、ペンシルバニア大学で、また、アリゾナ大学、さらにはドイツのマックス・プランク研究所で研究活動を行なった経験を持つ。
【訳者】
●加藤晴久(かとう・はるひさ)
1935年生まれ。1958年東大仏文科卒。1960年同大学院修士課程修了。1961~64年、フランス国立高等師範学校に留学。明治学院大学講師を経て、1969年東大教養学部助教授(フランス語)。1990年教授。1996年定年退官し恵泉女学園大学教授。2004年に退職。日本フランス語教育学会会長(1991~97)。国際フランス語教員連合副会長(1992~96)。東京大学・恵泉女学園大学名誉教授。訳書に、ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(共訳、みすず書房)、ブルデュー『市場独裁主義批判』『パスカル的省察』『科学の科学』『知の総合をめざして』(共訳)(以上藤原書店)ほか多数。著書に『憂い顔の『星の王子さま』』(書肆心水)、『ブルデュー 闘う知識人』(講談社選書メチエ)、『『ル・モンド』から世界を読む』(藤原書店)。編著に『ピエール・ブルデュー 1930-2002』(藤原書店)。フランス共和国芸術文芸勲章 Arts et lettres(シュバリエ)、研究教育功労勲章 Palmes académiques(オフィシエ)受章。
●増茂和男(ますも・かずお)
1953年生まれ。元高校教諭。東京大学大学院博士課程単位取得退学。言語情報科学(フランス語教育)専攻。訳書に、ボワソン=バルディ『赤ちゃんはコトバをどのように習得するか』(共訳、藤原書店)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです