- 中村桂子(生命誌研究者)
村上陽一郎(科学史家)
西垣 通(情報学者)
- B6変上製 232頁
ISBN-13: 9784865782851
刊行日: 2020/10
生命誌、科学史、情報学の各分野の第一線による緊急徹底討論!
科学万能信仰がはびこる今、そこから脱し、生態系の中で「生きもの」として生きていくという「本来の生活」「本来の人間の知性」をいかにして取り戻していくか!?
目次
第Ⅰ部 ウイルスと人間――問題提起
ウイルスと人間の関係の長い歴史(中村桂子)
ウイルスとの闘いの人類史(村上陽一郎)
ウイルスを観察しているのは誰か(西垣 通)
第Ⅱ部 どういう社会を目指すのか――ディスカッション
新型コロナウイルスがあぶり出した社会の問題
コンピュータ社会と人間
今こそ「人間」を考える
若者に伝えたいこと――むすび
後藤新平の感染症対策と衛生思想(編集部)
デジタル情報に頼らず、自分で考える(西垣 通)
死と隣りあう生(村上陽一郎)
考え方を変えるチャンスに(中村桂子)
関連情報
◎中村桂子
新型コロナウイルス感染症はマイナスをたくさん生んでいますが、過密など現代社会の問題点を具体的に暴き出し、それが今後プラスの意味をもつとよいと思っています。
◎村上陽一郎
死と隣り合わせになっている社会の中で自分は生を受けている、生きているということを実感してほしい。その実感の中から自分の人生をつくり上げていく意欲を見いだしてほしい。
◎西垣 通
コロナウイルスは、我々がデジタルなデータではなく、「生き物」として生態系のなかで他の動植物と共生しているという深遠な真実を教えてくれます。
(本文より)
著者紹介
●中村桂子(なかむら・けいこ)
1936年生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。国立予防衛生研究所を経て、71年三菱化成生命科学研究所に入り(のち人間・自然研究部長)、日本における「生命科学」創出に関わった後、ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く新しい知「生命誌」を創出。その構想を93年、「JT生命誌研究館」として実現、副館長(~2002年3月)、館長(~20年3月)を務める。著書に『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫)『「ふつうのおんなの子」のちから』(集英社)『こどもの目をおとなの目に重ねて』(青土社)他多数。『中村桂子コレクション いのち愛づる生命誌』全8巻(藤原書店)刊行中。
●村上陽一郎(むらかみ・よういちろう)
1936年生まれ。東京大学・国際基督教大学名誉教授。科学史、科学哲学。科学のたどった道と現代の諸問題を見据え、未来を展望する。東京大学教授、同大学先端科学技術研究センター教授・センター長、国際基督教大学教授、東京理科大学大学院教授、東洋英和女学院大学学長などを歴任。著書に『ペスト大流行』(岩波新書)『安全学』『文明のなかの科学』『生と死への眼差し』(青土社)『科学者とは何か』(新潮選書)『安全と安心の科学』(集英社新書)『死ねない時代の哲学』(文春新書)『日本近代科学史』(講談社学術文庫)他多数。編書に『コロナ後の世界を生きる』(岩波新書)他。
●西垣 通(にしがき・とおる)
1948年生まれ。東京大学名誉教授。基礎情報学、メディア論。日立製作所でコンピュータ研究開発に従事したのち、明治大学教授、東京大学社会科学研究所教授、東京大学大学院情報学環教授、東京経済大学コミュニケーション学部教授を歴任。情報社会のはらむ諸問題を文理の両面から幅広く考察。著書に『AI原論』(講談社選書メチエ)『ビッグデータと人工知能』(中公新書)『ネット社会の「正義」とは何か』(角川選書)『ウェブ社会をどう生きるか』(岩波新書)『基礎情報学(正・続)』(NTT出版)他多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです