- 石井洋二郎 著
- 四六並製 304頁
ISBN-13: 9784865782905
刊行日: 2020/11
大著『ディスタンクシオン』を読み解く、最高の水先案内!
文化資本、学歴資本、社会空間、象徴空間、〈場〉、慣習行動、ハビトゥス……など、現代社会分析の上で必須の概念の数々を提起した、世界的社会学者ピエール・ブルデューの主著にしてロングセラー、社会科学の圧倒的金字塔を読み解く、最高の水先案内!
◎NHK「100分de名著」で紹介!
目次
〈導入講義〉平等神話は終わった――格差の時代に『ディスタンクシオン』を読む
第1講 趣味とは闘争である――〈文化貴族の肩書と血統〉
第2講 あなたの場所はどこか?――〈社会空間とその変貌〉
第3講 強力な生成母胎――〈ハビトゥスと生活様式空間〉
第4講 象徴闘争というゲーム――〈場の力学〉
第5講 贅沢は敵ではない――〈卓越化の感覚―支配階級〉
第6講 上でもなく、下でもなく――〈文化的善意―中間階級〉
第7講 気取りすぎてはいけない――〈必要なものの選択―庶民階級〉
第8講 あなた自身の意見はあるか?――〈文化と政治〉
〈総括講義〉もっと怒りを!――〈階級と分類〉
〈補講〉差別化の構造――日本で『ディスタンクシオン』を読む(ピエール・ブルデュー)
あとがき
事項索引/主要人名索引
関連情報
『ディスタンクシオン』とはどういう書物かといえば、「趣味と階級」の関係を膨大な資料に依拠して実証的に分析した研究書である、とひとまずは要約することができると思いますが、邦訳で二巻千頁にも及ぶ書物の内容を、ただ「趣味と階級のあいだには密接な関係がある」とひとことで済ませることはもちろんできません。ここではむしろ本文の流れに沿って各章を順に読み進めるという形をとることにしたいと思います。つまり、いわゆる講義形式で読者と一緒にこの書物を「講読する」というのが、本書の基本的なスタンスです。おもな受講者としては、かつてこの書物に挑戦しようと試みて挫折した読者、あるいはまだこの書物を一度も開いたことのない読者の方々を想定していますが、もちろんすでに『ディスタンクシオン』を通読したことのある方にも、ぜひ参加していただきたいと思います。(本書より)
著者紹介
●石井洋二郎(いしい・ようじろう)
1951年東京生まれ。東京大学名誉教授。地域文化研究・フランス文学。
著書:『差異と欲望――ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』(藤原書店)、『パリ――都市の記憶を探る』(ちくま新書)、『身体小説論――漱石・谷崎・太宰』(藤原書店)、『文学の思考――サント=ブーヴからブルデューまで』(東京大学出版会)、『美の思索――生きられた時空への旅』(新書館)、『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房、第59回芸術選奨文部科学大臣賞)、『科学から空想へ――よみがえるフーリエ』(藤原書店)、『フランス的思考――野生の思考者たちの系譜』(中公新書)、『時代を「写した」男ナダール 1820-1910』(藤原書店)など。
共編著:『文化の権力――反射するブルデュー』(藤原書店)、『フランスとその〈外部〉』(東京大学出版会)など。
訳書:ブルデュー『ディスタンクシオンⅠ・Ⅱ』(藤原書店、第8回渋沢・クローデル賞)、同『芸術の規則Ⅰ・Ⅱ』(藤原書店)、『ロートレアモン/イジドール・デュカス全集』(筑摩書房、第37回日本翻訳出版文化賞・第9回日仏翻訳文学賞)、バルト『小説の準備』(筑摩書房)など。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです