- 鶴見和子 著
- 松居竜五=編集協力・新版序
- A5上製 208頁
ISBN-13: 9784865783100
刊行日: 2021/4
「萃点(すいてん)」とは何か?
名著『南方熊楠』の著者が巨人・南方熊楠の“全体像”と“核心”へと平易に導く最良の手引き、待望の新版!
目次
鶴見和子からのメッセージ――新版に寄せて(松居竜五)
Ⅰ 転換期の巨人・南方熊楠
Ⅱ 創造性について【柳田国男・南方熊楠・今西錦司】
〈幕間〉
辺境から風が吹く
熊楠には理論があった【『十二支考』】
熊楠に寄せて
Ⅲ 南方曼陀羅【未来のパラダイム転換に向けて】
Ⅳ 対談・「南方曼陀羅」をめぐって(鶴見和子・松居竜五)
鶴見和子・南方熊楠 関連ブックガイド
関連情報
●萃点とは……
いま考えているのは、南方曼陀羅をどのように内発的発展論の中に取り込むかということなの。その中では、南方曼陀羅の中で非常に大事なのは「萃点」だと思う。……萃点は中心ではないの。中心にあると命令することになる、天皇制みたいになる。そこですべての人々が出会う出会いの場、交差点みたいなものなのね。そして非常に異なるものがお互いにそこで交流することによって、あるいはぶつかることによって影響を与えあう場――それが萃点なの。
(本文より)
著者紹介
●鶴見和子(つるみ・かずこ)
1918年生まれ。上智大学名誉教授。専攻・比較社会学。1939年津田英学塾卒業後、41年ヴァッサー大学哲学修士号取得。66年プリンストン大学社会学博士号を取得。
論文名Social Change and the Individual: Japan before and after Defeat in World War II(Princeton Univ.Press, 1970)。69年より上智大学外国語学部教授、同大学国際関係研究所員(82-84年、同所長)。95年南方熊楠賞受賞。99年度朝日賞受賞。
15歳より佐佐木信綱門下で短歌を学び、花柳徳太郎のもとで踊りを習う(20歳で花柳徳和子を名取り)。1995年12月24日、自宅にて脳出血に倒れ、左片麻痺となる。2006年7月歿。
著書に『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(全9巻)『歌集 回生』『歌集 花道』『歌集 山姥』『好奇心と日本人』『鶴見和子・対話まんだら』『「対話」の文化』『いのちを纏う』『遺言〈増補新版〉』(以上、藤原書店)など多数。
2001年9月には、その生涯と思想を再現した映像作品『回生 鶴見和子の遺言』を藤原書店から刊行。
【編集協力者】
●松居竜五(まつい・りゅうご)
1964年京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。論文博士。現在、龍谷大学国際学部教授。専攻、比較文化論。2021年度より南方熊楠顕彰館長。
著書に『南方熊楠 一切智の夢』(朝日選書、1991年、小泉八雲奨励賞受賞)、『南方熊楠の森』(共著、方丈堂出版、2005年)、『南方熊楠大事典』(共編著、勉誠出版、2012年)、『南方熊楠――複眼の学問構想』(慶應義塾大学出版会、2016年)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです