- 西村秀一 著
- 井上亮 編
- B6変型上製 256頁
ISBN-13: 9784865783162
刊行日: 2021/6
呼吸器系ウイルス感染症の第一人者の提言、第二弾!
新型コロナ発生から一年余。リスクの「本質」をどう伝え、どう対策するのか? いまだに発生当初と変わらない「不要」な対策が蔓延し、さらに「変異株」問題が過大に喧伝されるなかで、医療資源・病床利用、ワクチンへの評価、そして「リスクコミュニケーション」の必要性など、新型コロナ問題への「本質的」な対策を提言。
目次
まえがき(井上 亮)
第1章 見えてきたウイルスの実態
1 「過度」な対策、「不適切」な対策
2 真に「恐れる」べき点は何か
3 「変異株」狂騒曲
第2章 「コロナ対策」一年の総括
1 「コロナ対策」個別検証
2 専門家とメディアの責任
第3章 なぜ正しく恐れられないのか
1 「リスク評価」を踏まえた対策を
2 リスクコミュニケーションの必要性
第4章 希望は何か――ワクチンをどう活用するか
1 病床ひっ迫は解消できるか?
2 ワクチンをどう活用するか?
3 「人間らしい生活」に向けて
あとがき(西村秀一)
関連情報
「なぜ正しく恐れられないのか」。リスクがあるのかないのか、物事を一つ一つ科学的に考えていないからでしょう。すべてにきめ細かさが大切だと思います。聖火リレーの本当のリスクはどこにあるのか。人が集まるから危ない、というすごく漠然とした根拠で対応しているのではないですか。
人が大勢集まっても大丈夫なようにするにはどうしたらいいのか。それが考えられていない気がします。人が密になるのを警戒しているのだと思いますが、そういった密の状況下こそ屋外であってもマスクをしてもらうのです。マスクをしていれば、たとえ大声を出したとしても人が吐き出すエアロゾルはごくわずかです。(本文より)
【著者紹介】
●西村秀一(にしむら・ひでかず)
1955年山形県生まれ。
1984年山形大学医学部医学科卒業、医学博士。山形大学医学部細菌学教室(現感染症学教室)助手を経て、1994年4月から米国National Research Councilのフェローとして米国ジョージア州アトランタにあるCenters for Disease Control and Prevention(CDC)のインフルエンザ部門で勤務。1996年12月に帰国。国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)ウイルス一部主任研究官を経て2000年4月より国立仙台病院(現国立病院機構仙台医療センター)臨床研究部ウイルス疾患研究室長、ウイルスセンター長。専門は呼吸器系ウイルス感染症、とくにインフルエンザ。
著書に、『新型コロナ「正しく恐れる」』(井上亮編、藤原書店、2020年)、訳書に、A・W・クロスビー『史上最悪のインフルエンザ』(みすず書房、2004年)、D・ゲッツ『感染爆発』(金の星社、2020年)、C・コーワン『ヒッポ先生シリーズ』(2009-11年)、J・メイフュー『ケイティのふしぎ美術館シリーズ』(2011-13年、ともにサイエンティスト社)、R・E・ニュースタット、H・V・ファインバーグ『ワクチン いかに決断するか』(藤原書店、2021年)、内務省衛生局編『現代語訳 流行性感冒』(平凡社、2021年)がある。
【編者紹介】
●井上亮(いのうえ・まこと)
1961年大阪生まれ。日本経済新聞編集委員。1986年日本経済新聞社入社。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。
著書に『非常時とジャーナリズム』(日本経済新聞出版社)、『焦土からの再生――戦災復興はいかに成し得たか』『天皇と葬儀――日本人の死生観』(共に新潮社)、『昭和天皇は何と戦っていたのか――『実録』で読む87年の生涯』(小学館)、『象徴天皇の旅――平成に築かれた国民との絆』(平凡社新書)、編著に『新型コロナ「正しく恐れる」』(西村秀一著、藤原書店、2020年)など。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです