- 竹内敏晴=文 森洋子=画
- 米沢唯=跋
- A4変上製 オールカラー32頁
ISBN-13: 9784865783353
刊行日: 2022/1
からだが弾け、ことばが動きだす「竹内レッスン」!
自分のからだを動かして、“海の中でのいのちの誕生”と進化をたどる――演出家 竹内敏晴が1970年代以来主宰してきた、からだとことばのワークショップ「竹内レッスン」。レッスンで体験した「人が立ち上がるということ」を、森洋子がしなやかな絵で再現! レッスンが甦る!
関連情報
■この本が生まれるまで――森洋子
竹内敏晴さんは、1970年代から「竹内レッスン」というからだとことばの独自のワークショップを続けてこられました。「竹内レッスン」には年に3回琵琶湖畔での合宿があり、その3回は5月「からだの気づき」、8月「声とことばの気づき」、12月「人とのかかわりの気づき」というモチーフでつながっており、皆が集いました。この本は、2005年5月の合宿で「人が立ち上がるということ」を体験した私が、そのレッスンの世界を絵で表現したものです。
■この本をよむ人に――竹内敏晴
人はいろいろなやり方で考える。
・草や水や石をこまかく観察して、葉のつき方や葉脈のもようをしらべたりする。
・本をよんで、いろいろな人がしらべたことを知る。火山のこととか、海のこととか、鉄道のしくみとか。
・ほかの人と話しあって、会のすすめ方や、遠足のけいかくなどを作る。
いろいろなやり方の中に からだで考える ってやり方があるんだ。
■本書に寄せて――米沢 唯
海の中で子供たちが波になって転がったり跳んだりしている絵を見たとき、「素敵!」と声が出た。踊っているようにしか見えなかったから。
こんぶのように踊ることと、こんぶそのものになって踊ること、の間には大きな大きな差があります。舞台で踊る私が、とても大切にしていることのひとつです。
サカナの私が、海から上がるとき、どんなに恐ろしかったか。でも恐ろしさよりも新しい世界への好奇心の方が強くて、上へ上へと上がって行く。そこで見た世界のなんと不思議で美しいこと。大地には熱いエネルギーが満ち、真っ赤に燃える山からは金色のマグマが噴き出ている。そしてその背後には静かに煌めく星々。
実際に「その場を生きる」ことこそ、からだで考えるということ。(抄)
著者紹介
●竹内敏晴(たけうち・としはる)
1925年、東京生まれ。演出家。
生後数か月で始まった中耳炎で難聴になる。東京大学文学部東洋史学科卒業。劇団「ぶどうの会」演出部、「代々木小劇場=演劇集団・変身」を経て、72年、「竹内演劇研究所」開設(~86年)。東京大学教育学部非常勤講師、宮城教育大学教授、東京都立南葛飾高校定時制非常勤講師、南山短期大学人間関係科教授、聖霊短期大学教授などを務める。69年、「ことばが劈かれる」体験を経て、独自の演劇の基本訓練を組み立てることに挑み続け、のちに「竹内レッスン」を開始。97年から、「オープンレッスン八月の祝祭」を上演。2009年、「からだ2009 オープンレッスン八月の祝祭」の上演が生涯最後の構成・演出作品となる。同年9月7日死去。享年84。
著書に『ことばが劈かれるとき』(思想の科学社、のちちくま文庫)、『子どものからだとことば』『癒える力』『思想する「からだ」』(晶文社)、『「からだ」と「ことば」のレッスン』(講談社現代新書)、『老いのイニシエーション』(岩波書店)『教師のためのからだとことば考』『動くことば 動かすことば』(ちくま学芸文庫)、『待つしかない、か。』(木田元との共著)『竹内レッスン――ライブ・アット大阪』(春風社)、『生きることのレッスン』(トランスビュー)、『からだ=魂のドラマ』(林竹二との共著)『「出会う」ということ』『レッスンする人――語り下ろし自伝』『からだが生きる瞬間』(稲垣正浩・三井悦子編)(藤原書店)などのほか、全著作から精選した『セレクション・竹内敏晴の「からだと思想」』全4巻(藤原書店)がある。
●森 洋子(もり・ようこ)
1959年、東京生まれ。画家、絵本作家。
東京藝術大学美術学部絵画科卒業。同大学院修了。
子供の頃の記憶をもとに1960年代の東京の路地を舞台にして、おもに鉛筆と赤鉛筆で絵を制作している。竹内レッスンに2004年から2009年まで参加した。
絵本に『かえりみち』(トランスビュー)、『ぼくらのひみつけんきゅうじょ』(PHP研究所)、『まよなかのゆきだるま』『おるすばん』『さがしもの』『おまつり』『あめのひのぼうけん』(福音館書店)、『空想化石はくぶつかん』(学校法人城西大学出版会)、『月の明るい真夜中に』『月の見ていたこと』『人間カルテ』(書肆森洋子)がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです