- 金時鐘 著
- 四六変上製 160頁
ISBN-13: 9784865783384
刊行日: 2022/3
60年の時を経て幻の詩集、遂に出版!
原稿はすべて揃っていたにもかかわらず、出版かなわぬまま途絶し散逸した、金時鐘の幻の第三詩集『日本風土記Ⅱ』。
復元された『金時鐘コレクション』でもなお九編が見つかっていなかったが、この九編の詩稿が2021年にすべて発見され、完全版として待望の刊行。
【栞】丁海玉/細見和之/浅見洋子
目次
Ⅰ 見なれた情景
カメレオンのうた
種族検定
歯の条理
労働昇天
穴
目撃者
木綿と砂
哄 笑
夜の磁気
海の飢餓
わが性 わが命
Ⅱ 究めえない距離の深さで
二つの部屋
遺 品
雨と墓と秋と母と ――父よ、この静寂はもうあなたのものだ――
犬を喰う
究めえない距離の深さで
早い季節
秋の夜に見た夢の話
冬
春のソネット
この地に春がくる!
春はみんながもえるので
ぼくらは一日をかちとった。
しゃりっこ
籤に生きる
ふ ぐ
二十五年
道(洪じいさん)
檻を放て!
あとがき
著者紹介
●金時鐘(キム・シジョン)
1929年(旧暦1928年12月)朝鮮釜山に生まれ、元山市の祖父のもとに一時預けられる。済州島で育つ。48年の「済州島四・三事件」に関わり来日。50年頃から日本語で詩作を始める。在日朝鮮人団体の文化関係の活動に携わるが、運動の路線転換以降、組織批判を受け、組織運動から離れる。兵庫県立湊川高等学校教員(1973-88年)。大阪文学学校特別アドバイザー。詩人。
主な作品として、詩集に『地平線』(ヂンダレ発行所、1955)『日本風土記』(国文社、1957)長篇詩集『新潟』(構造社、1970)『原野の詩――集成詩集』(立風書房、1991)『化石の夏――金時鐘詩集』(海風社、1998)『金時鐘詩集選 境界の詩――猪飼野詩集/光州詩片』(藤原書店、2005)『四時詩集 失くした季節』(藤原書店、2010、第41回高見順賞)『背中の地図』(河出書房新社、2018)他。評論集に『さらされるものと さらすものと』(明治図書出版、1975)『クレメンタインの歌』(文和書房、1980)『「在日」のはざまで』(立風書房、1986、第40回毎日出版文化賞。平凡社ライブラリー、2001)他。エッセーに『草むらの時――小文集』(海風社、1997)『わが生と詩』(岩波書店、2004)『朝鮮と日本に生きる』(岩波書店、2015、大佛次郎賞)他多数。2018年、『金時鐘コレクション』全12巻(藤原書店)発刊。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです