- 清眞人 著
- A5上製 408頁
ISBN-13: 9784865783421
刊行日: 2022/4
深化するニーチェの闘い!
ショーペンハウアーへの共感は、回転扉のように反転し、自己対決を迫る!
著者のニーチェ論の集大成。
ニーチェは、幼少期において熱烈なキリスト教徒であった。
にもかかわらず、彼が「ニーチェ」へと離陸したのは、この己の思想的過去を痛烈かつ徹底的に自己批判し、超克する試みを為すことによってであった。
21世紀、ますます重要性を増すニーチェ思想の核心を抉り出す。
目次
第Ⅰ部 ニーチェ――ショーペンハウアーの最大の「弟子」にして「対決者」
はじめに
第一章 『悲劇の誕生』と『偶像の黄昏』とのあいだ
第二章 単独者ニーチェ
第三章 『ツァラトゥストラ』における救済思想
第四章 ニーチェにおける「仏教」の問題位置
第五章 暴力主義的生命観
第Ⅱ部 ニーチェへの照明
はじめに
第一章 『道徳論手帳』におけるサルトルのニーチェ批判について
第二章 ニーチェとヴェーバー
第三章 ジンメル『ショーペンハウアーとニーチェ』への批評(抄録)
第四章 仏教とニーチェ
付録 私の個人叢書「架橋的思索 二つの救済思想のあいだ」・「序言」抄(再録)
関連情報
この拙著『格闘者ニーチェ』三巻本は、ニーチェの思想を、さらにいえば、それが彼の死後――二十世紀において――形成することになった思想的磁場の在りようを、次の三巻をもって究明しようと試みるものである。すなわち、第Ⅰ巻『ショーペンハウアー ニーチェの最大の「師」にして「対決者」』・第Ⅱ巻『自己格闘者ニーチェ』・第Ⅲ巻『マンとハイデガー 二つの探照燈』の三巻をもって。一言にしていうならば、この三巻本はこれまで私が書き記してきたニーチェ研究の集大成である。
(「総序」より)
『格闘者ニーチェ』の第Ⅱ巻『自己格闘者ニーチェ』は、第Ⅰ巻『ショーペンハウアー――ニーチェの最大の「師」にして「対決者」』と対をなす、その続巻である。――「個体化の原理」による呪縛の果てに「残忍」という他者支配の極北に向かう「生への意志」の心理的構造をめぐるショーペンハウアーの考察、それをそのまま裏返しにして、真逆にも、「否!」から「諾!」の論理を導きだすなら、すなわち、それがニーチェ当人の「この私の思想」にほかならない!
(本巻・第Ⅰ部「はじめに」より)
著者紹介
●清眞人(きよし・まひと)
1949年生まれ、早稲田大学政経学部卒業、同大学院文学研究科哲学専攻・博士課程満期修了。元、近畿大学文芸学部教授。
本書に深く関連する著書としては、『〈受難した子供〉の眼差しとサルトル』御茶の水書房、1996年。『実存と暴力』御茶の水書房、2004年。『《想像的人間》としてのニーチェ――実存分析的読解』晃洋書房、2008年。『三島由紀夫におけるニーチェ――サルトル実存的精神分析を視点として』思潮社、2010年。『村上春樹の哲学ワールド――ニーチェ的長編四部作を読む』はるか書房、2011年。『サルトルの誕生――ニーチェの継承者にして対決者』藤原書店、2012年。『大地と十字架――探偵Lのニーチェ調書』思潮社、2013年。『聖書論Ⅰ 妬みの神と憐れみの神』『聖書論Ⅱ 聖書 批判史考』藤原書店、2015年。『ドストエフスキーとキリスト教――イエス主義・大地信仰・社会主義』藤原書店、2016年。『フロムと神秘主義』藤原書店、2018年。個人叢書「架橋的思索 二つの救済思想のあいだ」として、第Ⅰ巻『ヴェーバーにおける合理と非合理』、第Ⅱ巻『大拙における二律背反と煩悶』、第Ⅲ巻『二人の葛藤者――ヴェーバーとトラー』、第Ⅳ巻『ニーチェにおけるキリスト教否定と仏教肯定』(以上、Amazon Kindle電子書籍セルフ出版)。『高橋和巳論――宗教と文学の格闘的契り』藤原書店、2020年がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです