- 川満信一 編
- 安里英子/安里進/伊佐眞一/石垣金星/海勢頭豊/大城立裕/大田昌秀/川平成雄/
川満信一/金城実/高良勉/仲里効/仲程昌徳/波照間永吉/比屋根薫/ローゼル川田
- B6変並製 296頁
ISBN-13: 9784865783544
刊行日: 2022/7
思想・文化・歴史から、今、多角的に問い直す。
1945年春、住民を巻き込んだ壮絶な地上戦を経て敗戦、52年に本土は連合国による占領を終えるが、沖縄ではなお米軍による統治が続いた。
そして1972年の施政権返還から、今年で50年。
だが、今なお、日本の米軍基地の約70%が沖縄に集中している。
小社PR誌『機』好評連載「沖縄からの声」、待望の単行本化。
目次
はじめに 復帰50年に思う――食卓へ侵入する戦争
川満信一
第一章 思想のゆくえ
沖縄から日本政治を問う――沖縄・日本・アメリカ
大田昌秀(元沖縄県知事)
沖縄と戦争――日本国の暴走のなかで
川満信一(詩人)
考古学の視点から
安里 進(元・沖縄県立博物館・美術館館長/沖縄県立芸術大学名誉教授)
ハイチャースガ・ウチナー
金城 実(彫刻家)
石垣島の現在
川平成雄(沖縄社会経済史研究室)
戦後沖縄の存在証明
伊佐眞一(沖縄近現代史家)
拒否権を無くせないなら
比屋根 薫(文芸批評家)
第二章 文化のゆくえ
琉球文化の独自性
大城立裕(作家)
琉球の心
仲程昌徳(近現代沖縄文学研究者)
琉球文学と琉球語
波照間永吉(名桜大学大学院教授/琉球文学)
琉球の絶対平和とジュゴン
海勢頭 豊(ミュージシャン)
島で生きる――人・自然・神
安里英子(ライター)
首里城、再建へ
石垣金星(西表をほりおこす会会長)
琉球の抵抗のこころ
高良 勉(詩人・批評家)
ニライカナイのくに、琉球
ローゼル川田(俳人 水彩画/随筆家)
〈あいだ〉を翻訳すること、分有すること――〈オキナワ〉と〈おきなわ〉を巡るまなざしの政治
仲里 効(批評家)
絶対不戦の思想――「おわりに」にかえて
川満信一
関連情報
基地を容認すると、一度戦争ともなるとそこが真っ先に攻撃の的になるだけでなく沖縄が再び戦場化する。それは戦争体験者たちにとっては到底見逃せない事態だからである。
ともあれ、在沖軍事基地は、沖縄の人々にとって百害の基であり、婦女暴行などの凶悪犯罪も基地の存在に起因する。
(大田昌秀)
私は1946年11月に沖縄にひきあげてきたが、船のなかで考えたのは、これからは、おおっぴらに方言を喋ることができる、ということであった。異民族とのつきあいの難しさより、「日本」から解放される喜びのほうが、強かった。沖縄の文化は、日本への同化と異化とのせめぎあいの連続である。
(大城立裕)
戦後77年、復帰50年の記憶を洗い直しても、相変わらず戦争の危機と、日米の基地の重圧に対する抗議である。それでも執筆者たちは、政治・思想サイド、文化・思想サイドの各面から、情況の打開を試み、希望を摑もうと努力している。すでに他界された方々もいるが、本書の提言を遺言として、若い世代にバトンタッチしたい。
(川満信一)