- 浅海伸夫 著
- A5並製 552頁
ISBN-13: 9784865783889
刊行日: 2023/5
「戦争と革命の世紀」に突入し、「大衆の力」に揺さぶられる世界
『昭和時代』(全5巻) 『検証 戦争責任』(全2巻)を手がけたベテランジャーナリストが、世界―日本関係が急速に深化した明治~大正期の歴史を、「世界の中の日本」の視点から、立体的かつダイナミックに描く!
●「読売新聞オンライン」大好評連載を大幅加筆修正
目次
第Ⅲ巻まえがき
第1章 世界の中の日露戦争
夏目漱石と森鴎外
日本資本主義の成立
「義和団」戦争が勃発
日英同盟と日露協商
「月とスッポンの縁組」
開戦前年、日本の輿論
日露両国、いざ開戦へ
「敵ノ艦隊ヲ撃滅セントス」
欧米に三人の「特使」
会戦と海戦、日露の死闘
与謝野晶子とトルストイ
旅順陥落と「血の日曜日」
奉天会戦と日本海海戦
小村寿太郎の近代外交
ポーツマス「談判」成立
第2章 民衆が政治勢力に
戦いすんで政府非難
日本の勝利、諸民族を鼓舞
権益確保、帝国膨脹へ
陸海軍の軍備増強
「桂園時代」の政治
日本の植民地支配
「大逆事件」の前後
変わる世界 変わる日本
辛亥革命と日本
明治の終わり
第3章 世界大戦と革命と日本
大正、政変で幕開け
「閥族打破、憲政擁護」
新時代はやってくるか
山本内閣、海軍汚職で沈む
大隈内閣と第一次大戦勃発
日本の参戦、対華21か条
戦線は膠着、総力戦に
ロシア革命で帝国崩壊
『世界をゆるがした十日間』
「成金」と「貧乏物語」
大戦の負の遺産
砲弾とウイルスと
大正デモクラシー
第4章 世界が舞台、日本どこへ行く
講和会議と「五大国」
アジア民族へ衝撃波
1920年代、日本の岐路
軍縮時代がやってきた
「アメリカの世紀」
関東大震災と流言蜚語
震災復興と後藤新平
日米・日中・日露の難所
大正ロマン・モダニズム
普通選挙と治安維持法
第Ⅲ巻参考文献一覧/主要人名索引/事項索引
関連情報
■朝鮮への保護権を確立し、満州からロシアを撤退させたい日本と、満州の植民地化を狙い、日本の朝鮮支配を阻みたいロシア。両国とも相容れず、1904年、日露戦争に突入しました。日本は、この帝国主義列強の利害が複雑に絡む日露戦争に辛勝し、国際的地位を格段と向上させ、世界の「八大強国」の末席に連なります。
■1914年7月、ヨーロッパで第一次世界大戦が勃発しました。日本は、早々にドイツに宣戦を布告、英・仏などの連合国側に加わりました。陸海軍は、ドイツの租借地・山東半島を攻略し、ドイツ領南洋諸島も無血占領して、同年のうちに「日独戦争」は終わります。
■大正時代に入ると、ごくふつうの大衆が示威運動を通じて政治を揺り動かす事態が相次ぎます。13年、民衆の憲政擁護運動は、第三次桂太郎内閣を退陣に追い込みました(「大正政変」)。18年には、富山県の主婦らの「女一揆」を発端に、人々が米屋・富豪などを襲う「米騒動」が全国に波及し、寺内正毅内閣は総辞職。さらに24年、米議会での排日移民法成立前後に、これに抗議する大集会やデモがあり、「普選大示威行進」などで見せた大衆の圧力は、男子普通選挙の成立(25年)につながりました。
(「第Ⅲ巻まえがき」より)
●全巻構成●
高校生のための「歴史総合」入門――世界の中の日本・近代史(全3巻)
世界と日本の関係が急速に深化した明治・大正期の近代史を、立体的かつダイナミックに描く。高校で必修となった日本史・世界史の統合科目「歴史総合」の理解に最適の新シリーズ!
Ⅰ 日本に「近代」到来 (2022年8月刊)
Ⅱ 欧米の「近代」に学ぶ(2023年1月刊)
Ⅲ 国際化と大衆化の時代(2023年5月刊)
各巻384~552頁 Ⅰ・Ⅱ3000円 Ⅲ3600円
著者紹介
●浅海伸夫(あさうみ・のぶお)
1951年生まれ。中央大学法学部卒。74年、読売新聞(東京本社)入社、横浜支局に配属。82年から18年間、政治部記者。その間、政治コラム『まつりごと考』連載。世論調査部長、解説部長を経て論説副委員長。読売新聞戦争責任検証委員会の責任者、長期連載『昭和時代』のプロジェクトリーダーを務めた。現在は同社調査研究本部主任研究員。
著書に『政治記者が描く平成の政治家』(丸善ライブラリー)、『政 まつりごと』(編著、読売新聞社)、『国会と外交』(共著、信山社)、『日本の世論』(編著、弘文堂)、『素顔の十代』(同)、『現代日本政党史録 4』(共著、第一法規)、『二大政党時代のあけぼの――平成の政治と選挙』(編著、木鐸社)、『検証 戦争責任(上・下)』(編著、中公文庫)、『昭和時代』全5巻(編著、中央公論新社)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです