- アルベール・カミュ 著
- 中村まり子 訳
- 〈解説〉岩切正一郎
- 〈解説対談〉篠井英介・中村まり子
- 四六変上製 192頁
ISBN-13: 9784865784046
刊行日: 2023/11
演劇人による“聴いてわかる”新訳!
若きテロリストたちの素顔
20世紀初頭モスクワのセルゲイ大公暗殺事件に材をとった戯曲。
新型コロナ下で話題になった小説『ペスト』(1947)後、1949年初演!!
「思想のために死ぬ、そのことこそがその思想と同じ高みに行ける唯一の手段」
目次
正義の人びと(五幕)
訳者あとがき(中村まり子)
〈対談〉『正義の人びと』について
俳優 篠井英介
俳優、翻訳家 中村まり子
〈解説〉岩切正一郎
関連情報
「中村まり子さんの翻訳は、本当にわかりやすかった。ああ、こんな芝居だったのかと思いましたね。役者さんが自分で演じたらどうなるだろう、自分が声を発したらどうなるだろう、ということを常に考えて訳されていると思うので、血肉の通った人物になっていると思います。」(俳優 篠井英介)
「人物が本音を言っている。カミュは現場の好きな、劇作家なんだと思います。生きた人間にしゃべらせたかったということですね。」(俳優、翻訳家 中村まり子)
著者紹介
●アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913-60)
仏領アルジェリア出身。生後1年でフランス人入植者の父が第1次大戦で戦死。兄、耳が不自由な母とともに祖母の家で暮らし、生活は貧困の中にあった。高等中学在学中の17歳時に重い結核に罹患。1932年、アルジェ大学文学部に進学、哲学を専攻。学位論文『キリスト教形而上学とネオプラトニズム』(1936年)。大学卒業後、1938年にアルジェの新聞の記者となり、また劇団活動も。1940年、反政府活動によりアルジェリアからの退去命令を受けフランス本土に渡る。第2次大戦中から『コンバ』紙主筆としてレジスタンス運動。1942年の小説『異邦人』、評論『シーシュポスの神話』等で打ち出した“不条理”の哲学で注目され、1947年の小説『ペスト』はベストセラーに。劇作家としては『カリギュラ』『誤解』『戒厳令』(本作)『正義の人びと』などの戯曲を残した。1951年、『反抗的人間』を契機にサルトルと論争。政治における暴力の問題に苦悩。1954年アルジェリア戦争に際しても言論への賛同を得られず次第に孤立。1956年『転落』発表後、1957年、43歳の若さでノーベル文学賞を受賞。1960年、サンス~パリ間の通称ヴィルブルヴァンで自動車事故により46歳で死去。
〈主な作品〉
小説『異邦人』(1942)、『ペスト』(1947)、『転落』(1956)、『追放と王国』(1957)
戯曲『カリギュラ』(1944)、『誤解』(1944)、『戒厳令』(1948、本作)、『正義の人びと』(1949)
エッセイ、評論等『裏と表』(1937)、『結婚』(1939)、『シーシュポスの神話』(1942)、『反抗的人間』(1951)、『夏』(1954) 他多数。
【訳者】
●中村まり子(なかむら・まりこ)
東京都出身。文化学院大学部仏文科中退。子供時代から父(中村伸郎)の在籍した劇団文学座、NLTの舞台に子役として出演。
1969~72年、劇団 浪曼劇場(三島由紀夫 主宰)に在籍。
1972~73年、現代演劇協会 劇団 雲に在籍。
1972年、パリ・ユシェット座にて「ベラ・レーヌ演劇教室」に参加。
1972~88年、渋谷ジァンジァン“金曜夜10時劇場”イヨネスコ作「授業」15年ロングラン。
1980年より演劇企画ユニット〈パニック・シアター〉を主宰し、現在に至る。
2007年、湯浅芳子賞・戯曲上演部門賞。
2013年、第6回小田島雄志・翻訳戯曲賞。
【主な出演作品】
〔舞台〕「サロメ」「地球は丸い」(浪曼劇場) 他
〔映画〕「12人の優しい日本人」(中原俊監督) 他
また、テレビ、ラジオドラマ、ナレーション等多数出演。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです