- 所功 著
- 四六変並製 416頁
ISBN-13: 9784865784312
刊行日: 2024/8
「天皇学」は、日本学!
――在来の「天皇史」から新たな「天皇学」への入門講座
歴代の天皇は皇祖神の子孫と伝えられ、日本史上で政治的にも文化的にも大きな役割を果たしてきた。戦後教育の中で“天皇”という存在への問いは消されていたが、“天皇”を論じることなくして日本の歴史はない。
歴代天皇の主要な実績を平易に解説し、また最新の研究を補注し、補論では全天皇の略伝を紹介して、多様な「天皇学」への道を拓く“入門書の決定版”。
目次
まえがき――今なぜ「天皇学」か
本論の前に――「ミヤコ」の移り変わり
Ⅰ 古代――大和時代
1 神武天皇の東征と建国の理想
2 崇神天皇のもとで国内統一に前進
3 倭姫命と日本武尊の歴史的役割
4 神功皇后による遠征と摂政
5 雄略天皇=倭王武の内政外交
6 皇統の断絶を救われた継体天皇と手白香皇后
7 仏教を慎重に受容された欽明天皇
Ⅱ 上代――飛鳥・奈良・平安時代
8 推古女帝と摂政の聖徳太子による協力統治
9 画期的な「大化改新」を主導された天智天皇
10 日本的な律令体制を確立された天武・持統両帝
11 壮大な天平文化を具現された聖武天皇
12 危機を救われた孝謙=称徳女帝の宿命と苦慮
13 千年以上も続く「平安楽土」を築かれた桓武大帝
14 唐風文化にも和風文化にも精通された嵯峨天皇
15 聖代と仰がれる寛平の治をリードされた宇多天皇
16 永く仰がれる醍醐・村上両帝による延喜・天暦の治
17 好学の一条天皇と後宮、および内覧の藤原道長
18 親政と初の院政に励まれた白河天皇
19 難局を切り抜けられた「治天の君」後白河上皇
Ⅲ 中世――鎌倉・南北朝・室町時代
20 承久の変に殉じられた後鳥羽・順徳の両上皇と土御門上皇
21 鎌倉時代の両統迭立と花園天皇の御教訓
22 親政に励み倒幕を断行された後醍醐天皇
23 吉野と京都の両朝合体と後南朝・伏見宮
24 戦国の乱世にも皇威を護り通された乱世の天皇
Ⅳ 近世――江戸時代
25 徳川幕府と対峙し続けられた後水尾天皇
26 朝儀文化の復興に尽力された霊元天皇
27 中継ぎと後見の功績大きい後桜町女帝(上皇)
28 朝廷主導の皇威を回復された孝明天皇
Ⅴ 近現代――東京時代
29 近代的な立憲君主の明治大帝
30 貞明皇后と摂政宮の補佐をえられた大正天皇
31 「二十世紀の名君」と称される昭和天皇の帝王学
32 「平成」の理想体現に邁進された象徴天皇
33 多様な「水問題」の研究も熱心な今上陛下
〈補論〉歴代天皇の略伝
〈付録〉歴代天皇の略系図
あとがき――「天皇学」への展望
関連情報
「天皇学」への道しるべ
天皇に代表される皇室の在り方は、私ども一般国民の日本社会と重なりあっており、学ぶべきことの多い至高のお手本だと思われます。
現在の天皇・皇族たちが行っておられる事、皇居の内外に有形・無形の文化としてある物を、可能な限り広く知るならば、そこから日本(国民・社会)の本来的・理想的な在り様を考えるヒントもえられそうです。
天皇を知ることは日本と日本人を知る重要な手懸りです。その来歴(天皇史)を学ぶことによって、日本の国柄を深く理解する道も拓けるのではないかと思われます。
(本書「あとがき」より)
著者紹介
●所功(ところ・いさお)
昭和16年(1941)12月12日、岐阜県出生(小田原市現住)
同41年3月、名古屋大学大学院修士課程(国史学)卒業
同61年9月、法学博士(慶應義塾大学、日本法制文化史)
令和元年11月、日本学賞(宮廷文化の史的研究)
職歴 皇學館大學文学部教員(9年間)、文部省初等中等教育局社会科日本史教科書調査官(6年間)、京都産業大学教養部→法学部・日本文化研究所教授(31年間)、モラロジー研究所教授(10年間)歴任。
現在、京都産業大学名誉教授、皇學館大學特別招聘教授、京都宮廷文化研究所特別顧問、國民會館理事など。
著書 (皇室関係書として前著『天皇の歴史と法制を見直す』(藤原書店)付録Ⅴ参照)。他に『三善清行』(吉川弘文館)、『菅原道真の実像』(臨川書店)、『三善清行の遺文集成』(方丈堂出版)、『伊勢神宮』(講談社学術文庫)、『京都の三大祭』(角川ソフィア文庫)、『未刊論考デジタル集成』Ⅰ(方丈堂出版)など。
補注筆者:久禮旦雄(くれ・あさお) 京都産業大学准教授
補論筆者:橋本富太郎(はしもと・とみたろう) 麗沢大学教授
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです