- 福田光子 編
- 〈執筆者〉浅野美和子/白戸満喜子/門玲子/高橋昌彦/寿岳章子/福田光子/中野節子/金津日出美/島津良子/
柳美代子/立浪澄子/荻迫喜代子/海保洋子
- A5上製 576頁
ISBN-13: 9784894340268
刊行日: 1995/11
日本女性史再考、高群逸枝と「アナール」の邂逅から誕生した女と男の関係史
前人未到の女性史の分野に金字塔を樹立した先駆者・高群逸枝と、新しい歴史学「アナール」の統合をめざし、男女80余名に及ぶ多彩な執筆陣が、原始・古代から現代まで、女と男の関係の歴史を表現する「新しい女性史」への挑戦。各巻100点余の豊富な図版・写真・文献リスト、人名・事項・地名索引、関連地図を収録。本文下段にはキーワードも配した、文字通りの新しい女性史のバイブル。
〈監修者〉鶴見和子/秋枝蕭子/岸本重陳/中内敏夫/永畑道子/中村桂子/波平恵美子/丸山照雄/宮田登
〈編集代表〉河野信子
目次
序 (福田光子)
Ⅰ 心性の諸相――宗教・文芸・教化
1 芸能における女性 (浅野美和子)
2 民衆宗教における女性 (浅野美和子)
3 江戸の出版にみる女性像――浮世絵師・渓斎英泉を中心に (白戸満喜子)
4 江戸女流文学史の試み (門玲子)
5 上杉鷹山の女子教訓――教化の諸相 (高橋昌彦)
6 ことわざと女性史 (寿岳章子)
Ⅱ 家・婚姻の基層
7 家と婚姻の基層を探る――第Ⅱ部のはじめに (福田光子)
8 仮名草子にみる女性の家族と仕事 (中野節子)
9 「子返し・子まびき」論と婚姻規範 (金津日出美)
10 幕末期の婚姻と離婚――『全国民事慣例類集』の陳述より (島津良子)
Ⅲ 庶民生活に交錯する陰影と自在
11 女性の生活空間――各階層をめぐって (柳美代子)
12 近世捨子史考――加賀藩の事例を中心に (立浪澄子)
13 江戸時代の食文化 (荻迫喜代子)
14 アイヌ女性の心性 (海保洋子)
参考文献一覧/図表一覧/索引/地図
関連情報
徳川幕府のもと、太平の世が続いたいわゆる江戸時代。身分制度秩序のなかで、女性の顔が見えにくい時代ともいわれる。自然の理として男女の役割が引き受けられて「家」意識は一般化、女訓書による女性教化が進む。しかし一方、これまでの歴史から抜け落ちてきた関係存在としての女と男を、民衆宗教や芸能に、江戸女流文学に見ることで「爛熟する女と男」の近世を描き出す。