- 伊東聖子・河野信子 編
- 〈執筆者〉阿部泰郎/鈴鹿千代乃/津島佑子/藤井貞和/千野香織/池田忍/服藤早苗/明石一紀/田端泰子/
梅村恵子/田沼眞弓/遠藤一/伊東聖子/河野信子
- A5上製 560頁
ISBN-13: 9784894340381
刊行日: 1996/5
日本女性史再考、高群逸枝と「アナール」の邂逅から誕生した女と男の関係史
前人未到の女性史の分野に金字塔を樹立した先駆者・高群逸枝と、新しい歴史学「アナール」の統合をめざし、男女80余名に及ぶ多彩な執筆陣が、原始・古代から現代まで、女と男の関係の歴史を表現する「新しい女性史」への挑戦。各巻100点余の豊富な図版・写真・文献リスト、人名・事項・地名索引、関連地図を収録。本文下段にはキーワードも配した、文字通りの新しい女性史のバイブル。
〈監修者〉鶴見和子/秋枝蕭子/岸本重陳/中内敏夫/永畑道子/中村桂子/波平恵美子/丸山照雄/宮田登
〈編集代表〉河野信子
目次
序 (伊東聖子・河野信子)
Ⅰ 表象への視線
1 〈聖なるもの〉と女性――トラン尼伝承の深層 (阿部泰郎)
2 遊女幻想 (鈴鹿千代乃)
3 王朝文学の女性 (津島佑子・藤井貞和)
4 嘲笑する絵画――「男衾三郎絵巻」にみるジェンダーとクラス (千野香織)
5 合戦絵の中の女性像――「性」を印された身体 (池田忍)
Ⅱ 関係存在の変容の過程
6 性愛の変容――中世成立期を中心に (服藤早苗)
7 鎌倉武士の「家」――父系集団から単独的イエへ (明石一紀)
8 中世前期における女性の財産権――家族・村落の中で (田端泰子)
9 天皇家における皇后の位置――中国と日本との比較 (梅村恵子)
Ⅲ 宗教のいとなみから
10 平安時代の内侍と祖先祭祀 (田沼眞弓)
11 十三世紀における妻と夫の宗教活動――親鸞の結婚説話「坊守縁起」の世界 (遠藤一)
12 密教系女神・その光と呪性――荼枳尼護法女神の両義性を中心に(伊東聖子・河野信子)
参考文献一覧/図表一覧/索引/地図
関連情報
古代から中世前期といわれる時代――平安・鎌倉期。時代は「おんなとおとこの誕生」へと動いていく。それはたとえば、性愛の変容のなかに、鎌倉武士の「家」に、仏教文化の導入のなかに、絵画のなかの女性像に、それぞれの旋律をともなって発見されるだろう。とはいえ、その関係は必ずしも一方的なものではない。王朝文学に見られる男女関係や、庶民の女たちの姿は、そのことをよくあらわしている。両義性のなかで読み直す関係史。