- ピエール・ブルデュー 著
- 桑田禮彰 訳
- 四六上製 208頁
ISBN-13: 9784894341616
刊行日: 2000/1
全く新しいハイデガー像
一見政治とは無縁に見えるハイデガーの「純粋哲学」の核心に、社会的な政治性を発見する「哲学の社会学」。哲学は、哲学的言説が社会的な文脈に還元されることを何ゆえ断固拒むのか? その秘密を、通俗社会学とは隔絶した哲学的分析で明らかにする「哲学による哲学批判」。デリダ×ブルデュー論争の本質がどこにあるかを明快に示す一書。
目次
読者の皆様へ
序 論 いかがわしい思想
哲学の時代性と純粋性 政治的かつ哲学的に読むこと
第1章 純粋哲学と時代精神
両大戦間ドイツのイデオロギー的雰囲気 家父長制 / 回心 / 山岳 シュペングラーとトレルチ 大学内に広がる反主知主義 シュペングラーとハイデガー ユンガーとハイデガー ぼんやりした統一 倫理 - 政治的な方向感覚 保守的革命 第3の道 ハイデガー存在論の政治的基礎 政治と哲学の境界線 能動的ニヒリズムから受動的ニヒリズムへ
第2章 哲学界と可能性空間
哲学界における政治的立場表明 哲学界の状況と新しい立場 ハイデガーのハビトゥス 知的世界のいごこちの悪さ ハイデガーの文体
第3章 哲学における 「保守的革命」
政治・大学・哲学を貫く理論路線 徹底的な乗り越えの戦略 歴史・時間の存在論化とその実践的表現 超越論的なものの存在論化から否定的存在論へ
第4章 検閲と作品制作
形式と内容 仮象だけの断絶と哲学体系 暴露 = 隠蔽 エリートと大衆 社会からの距離 倫理的主意主義
第5章 内的な読解と形式の尊重
形式的言説は形式的読解を求める 哲学者の自己解釈 作品と解釈者の相対的立場 ハイデガーに共鳴する土壌
第6章 自己解釈と体系の進化
体系化の到達点としての 「転回」 進化の原理としての警戒 本質的思考は本質的なことを思考しなかった
原 注
訳者解説
索 引