- 岡野治子 編
- 〈解説エッセイ〉佐藤賢一
〈執筆者〉川村邦光/牧野和夫/髙達奈緒美/エリザベート・ゴスマン/水野賀弥乃/加藤美恵子/岡野治子/
久留島典子/後藤みち子/鈴木敦子
- B6変並製 312頁
ISBN-13: 9784894342002
刊行日: 2000/10
日本女性史再考、高群逸枝と「アナール」の邂逅から誕生した女と男の関係史
前人未到の女性史の分野に金字塔を樹立した先駆者・高群逸枝と、新しい歴史学「アナール」の統合をめざし、男女80余名に及ぶ多彩な執筆陣が、原始・古代から現代まで、女と男の関係の歴史を表現する「新しい女性史」への挑戦。各巻100点余の豊富な図版・写真・文献リスト、人名・事項・地名索引、関連地図を収録。本文下段にはキーワードも配した、文字通りの新しい女性史のバイブル。
読者の手になじみやすくしたソフトカバー版。
各巻末に、『女と男の時空』の問題提起を受けて多ジャンルの作家や専門家が寄せた特別エッセイ「『女と男の時空』を読んで」を収録。
〈監修者〉鶴見和子/秋枝蕭子/岸本重陳/中内敏夫/永畑道子/中村桂子/波平恵美子/丸山照雄/宮田登
〈編集代表〉河野信子
目次
序 (岡野治子)
Ⅰ 世俗の伝統と信仰のはざまで
1 女の地獄と救い (川村邦光)
2 血盆経の受容と展開 (牧野和夫・髙達奈緒美)
3 キリスト教と女性――ヨーロッパの視点と日本の視点
Ⅰ ヨーロッパの視点・ガラシャ細川玉の実像と虚像 (エリザベート・ゴスマン/訳・水野賀弥乃)
Ⅱ 日本の視点・民間信仰史の脈絡から見たキリシタン像 (加藤美恵子)
4 アマテラスのイメージ・王権・女性 (岡野治子)
Ⅱ 管理の規範と女性の生
5 婚姻と女性の財産権 (久留島典子)
6 「家」における女性の日常と役割――中世後期の各階層をめぐって (後藤みち子)
7 女商人の活動と女性の地位――中世後期を軸に (鈴木敦子)
●『女と男の時空』を読んで 5
歴史学がなすべきこと (佐藤賢一)
関連情報
多くの次元で歴史の転機をなすといわれる中世(後期)、南北朝・室町・安土桃山期。女と男の関係についても、たとえば、高群逸枝が女性の地位の転落と捉えたような婚姻、財産権など管理の規範の変遷が見られてくる。ただここにも、階層ごとの両義性は存在する。さらに、女商人の活躍など多面的な切り口から「女と男の乱」の時代が浮き彫りにされていく。