- 奥田暁子 編
- 〈解説エッセイ〉若桑みどり
〈執筆者〉比嘉道子/川崎賢子/能澤壽彦/森崎和江/佐藤〔佐久間〕りか/松原新一/永井紀代子
- B6変並製 342頁
ISBN-13: 9784894342125
刊行日: 2000/12
日本女性史再考、高群逸枝と「アナール」の邂逅から誕生した女と男の関係史
前人未到の女性史の分野に金字塔を樹立した先駆者・高群逸枝と、新しい歴史学「アナール」の統合をめざし、男女80余名に及ぶ多彩な執筆陣が、原始・古代から現代まで、女と男の関係の歴史を表現する「新しい女性史」への挑戦。各巻100点余の豊富な図版・写真・文献リスト、人名・事項・地名索引、関連地図を収録。本文下段にはキーワードも配した、文字通りの新しい女性史のバイブル。
読者の手になじみやすくしたソフトカバー版。
各巻末に、『女と男の時空』の問題提起を受けて多ジャンルの作家や専門家が寄せた特別エッセイ「『女と男の時空』を読んで」を収録。
〈監修者〉鶴見和子/秋枝蕭子/岸本重陳/中内敏夫/永畑道子/中村桂子/波平恵美子/丸山照雄/宮田登
〈編集代表〉河野信子
目次
序 (奥田暁子)
Ⅰ 越境する周縁
1 美から蛮風へ――針突(ハジチ)からの「解放」と近代沖縄の女たち (比嘉道子)
2 満洲国にわたった女性たち――文芸運動を手がかりに (川崎賢子)
3 女の霊能――教祖たちの内界と近代 (能澤壽彦)
4 セクシュアリティの歴史 (森崎和江)
Ⅱ 表象の時空へ
5 写真と女性――新しい視覚メディアの登場と「見る/見られる」自分の出現 (佐藤〔佐久間〕りか)
6 女性作家が描く女と男 (松原新一)
7 誕生・少女たちの解放区――『少女世界』と「少女読書会」 (永井紀代子)
●『女と男の時空』を読んで 9
近代日本における女性の国民化と皇后の表象 (若桑みどり)
関連情報
明治期から1945年の敗戦までの時期は、男の視点と言説に女性が従属し束縛された「暗い」時代と見なされることが多い。しかしよく見れば、たえず男の規範を侵犯し、抵抗し、自ら生きようとした女たちの姿がそこにはある。「鬩ぎ合う女と男」の時代を、沖縄、満洲文学、女教祖、セクシュアリティなど越境と周縁のイメージから、写真と女性、女性作家による女と男、女たちや少女の雑誌など表象の時空から、また労働、国家の射程のなかでの教育や戦争と女たちのありようから問い直す。