- 江刺洋司
- 四六並製 272ページ
ISBN-13: 9784894343641
刊行日: 2003/11
原因はノリ養殖の薬剤だった!
瀕死の有明海の真因は諫早干拓ではなく、ノリ漁業の薬剤処理だった! 「生物多様性条約」を起草した環境科学の国際的第一人者が、政・官・業界・マスコミ・学界一体の驚くべき真相を抉り、対応策を緊急提言。生命活動の基本を見すえた、「海のいのちをめぐる一般理論」から、いま有明海のみならず全国の海でおこっている事態に警鐘を鳴らす問題作。
目次
序
第1章 有明海荒廃の真因はノリの養殖法にあった
1 民主的立法を阻害する 「委員会・審議会」 制度
2 科学的分析力を欠く水産庁選定の第三者委員会
3 「有機酸投与」 を見逃した第三者委員会の基本的ミス
4 水産庁通達の重大な失政 ――半閉鎖海洋環境破壊の元凶
5 『朝日新聞』 紙上での提言と反応
第2章 ノリの不作と有機酸処理の深い関係
1 第三者委員会における第一回会議での酸処理剤検討がその後を決めた
2 干潟の機能の正しい理解こそが希少生物の絶滅を防ぐ
3 日本生態学会は物質循環の駆動力太陽光を無視してなぜ諫早干拓に反対するのか?
4 ノリの色落ちを考えるためにノリの一生を学ぼう
5 ノリの色落ちの科学的検証
6 なぜ無機酸を有害と言い、 有機酸は無害と言うのか?
第3章 生物の生きる仕組みから考える有明海問題 ――有明海を死に追いやる硫化水素
1 諫早干拓開始のはるか以前にさかのぼる有明海荒廃の序曲
2 有明海に生きる動物を死に追い込んだ真の原因は硫化水素であった
3 諫早干拓は有明海の荒廃と無縁と言える
4 なぜ環境科学の常套手段を有明海荒廃の因子解析に適用しなかったのか
5 ノリ養殖に始まる有明海荒廃のストーリーと結末
6 第三者委員会議事録を吟味する
7 最終報告に見る第三者委員会の実態
終 章
1 マスコミと有明海問題
2 有明海疲弊のシナリオ
3 原因調査の具体的提言
参考文献
あとがき
資料
図表一覧