- J‐L・フランドラン、M・モンタナーリ 編
- 宮原信・北代美和子 監訳
菊地祥子・末吉雄二・鶴田知佳子 訳
- A5上製 432頁
ISBN-13: 9784894344891
刊行日: 2006/1
西洋の食の歴史を俯瞰する記念碑的大著
“食”が歴史を作ってきた。――快楽の歴史で知られる仏の歴史家フランドランと中世の食を研究する伊の歴史家モンタナーリ。二人の編者の遠大な構想と総勢43名の気鋭の執筆者によって実現した画期的通史。食に関わるすべての今日的問題を考える上での必須の基礎文献。第Ⅰ巻は、食をめぐる人間と動物の違いから、古代・中世初期までを追う。
目次
序 論
用語解説 (北代美和子)
第1部 先史時代と古代文明
食行動の人間化 (J-L・フランドラン)
食物 / 料理 / 食卓の共有
第1章 先史時代の食料獲得戦略
(C・ペルレス)
化学で探る先史時代の食べ物 / 最初のヒト科動物 ―― 彼らは執拗な狩人か、 それとも腐肉あさ
りか / 最初のヒトの名誉回復 / 不特定の獲物を対象にした狩人の発展 / 後期旧石器時代と
大仕掛けの特定動物猟の普及 / ヨーロッパの中石器時代――摂取食物の極度の多様化 / 農耕
と牧畜―― 狩猟採集からの解放か、 それとも新しい問題か / 料理の起源には象徴的なものが
ある
第2章 初期文明における宴会の社会的役割
(F・ジョアネス)
私人の宴会 / 王の宴会 / 宗教儀式としての宴会
第3章 古代エジプトの食文化
穀物・パン・ガレット・菓子 / ビール / 菜園・果樹園・ブドウ園 / 肉と乳製品 / 魚類 / ハチミツ
・調味料・食用スパイス / 食堂と調理場 ―― 調理場の労働者 / ガストロノミーと医療のあいだ
第4章 聖書の道理
―― ヘブライの食物戒律 (J・ソレール)
食べてもよい動物 / 世界の秩序の名において / 原初のまま / 豚、 怪しい動物 / 血の禁忌
第5章 フェニキア人とカルタゴ人
(A・S・ジャンメッラーロ)
フェニキアの農耕と農産物 / カルタゴの食料資源 / 食品の調理と消費
第2部 古典世界
食のシステムと文明のモデル
(M・モンタナーリ)
いっしょに食べる / ……そして人間は、 自らのための植物を、 動物を作った / 「火を通したも
の」 と 「生のもの」 / 都市と農村 / ある様式の危機
第6章 肉とその儀式
(C・グロッタネッリ)
パンと肉 / 食べてはいけない肉 / 生贄のシステム / 生贄に伴う共餐とそれを拒否する宗教集
団 / ローマ世界 / 犠牲供犠の危機 / 犠牲供犠の存続 / 東方のキリスト教徒達
第7章 ギリシアにおける都市と農村
(M-C・アムレッティ)
農耕地の風景 / 食材の生産者は誰か? / ギリシア人はなにを飲み食いしたか? / 農村の食
料・都会の食料
第8章 ギリシア市民社会での儀式としての共同食事
(P・S=パンテル)
人間の宴会 / ギリシア人の宴会 / 都市国家市民達の宴会
第9章 シュンポシオン (饗宴) の文化
(M・ヴェッタ)
男達の集まり / 不動の作法 / シュンポシオンの象徴としての機能 / シュンポシオンと詩
第10章 エトルリア人の食生活
(G・サッサテッリ)
穀物 / マメ類 / ブドウとオリーヴ / 狩猟と牧畜 / 漁 / 料理と共同の食事
第11章 ローマ人の食と食事の文法
(F・デュポン)
ローマ人にとっての 「正しい」 食 / ローマ人の食べ物の種類分け ―― 大地の実りと獣の群れ /
ローマ人の食事 ―― 食品摂取の場と姿
第12章 ソラマメとウツボ
―― ローマにおける食べ物と社会階層 (M・コルビエ)
生産と配分 / 食の領域 / エリート階層の料理と人付き合い / 粗食という理想
第13章 政治的理由
―― 都市国家の言い分 (P・ガーンジイ)
古代における食料供給と政治的コンセンサス / 国家の制度 / 恩恵施与の慣行 / ローマにおけ
る食料補給と政治 / 農民の状況
第14章 古代世界における食と医療
(I・マッツイーニ)
栄養と食 / 均衡としての健康 / 飲食物の自然の性質・人工的性質
第15章 他者の食べ物
(O・ロンゴ)
人間と神々 / 食と生活様式
第3部 古代末期から中世初期
―― 5世紀―10世紀
ローマ人・蛮人・キリスト教徒
―― ヨーロッパの食文化の黎明 (M・モンタナーリ)
第16章 中世初期の生産構造と食生活
(M・モンタナーリ)
変化に富んだ食 / ブドウ畑とワイン / 穀物とマメ類 / 野菜 / 料理 / 安定したシステム
第17章 農民・戦士・聖職者
―― 社会的ステイタスと食生活のスタイル (M・モンタナーリ)
肉・体力・権力 / 働くことと戦うこと / 人の身分・人物の品 / 権力と慎ましさ / 「謙遜」 と権力
者達の生活様式
第18章 「食べれば食べただけ義理が生じる」
―― 会食・宴会・祝祭 (G・アルトホフ)
会食は集団生活、 社会生活の中核 / いっしょに食べ、 飲む / コンヴィヴィウムから宮廷風祝
祭へ
原注及び参考文献
原タイトル一覧
執筆者紹介