- 菊大並製 328ページ
ISBN-13: 9784894345430
刊行日: 2006/11
【満鉄創立百年記念】
初めて描く、その全体像
後藤新平を初代総裁として設立され、以後40年の間、中国東北の地に存在した、日本史上最大の国策会社・満鉄。
想像を超える規模で展開されたその事業の全体像と、世界史における意味を、初めて描く。
目次
はじめに
転勤の歳月
山田洋次
●創立100年の今こそ、あらためて問われる、その存在の意味
世界の鉄道史のなかの満鉄<インタビュー>
原田勝正
「鉄道」という技術と、「帝国主義」の時代のなかで生まれた満鉄の意味
■世界史のなかの満鉄
満鉄前史 【ウィッテからの贈り物】
V・モロジャコフ(訳=管野哲夫)
ロシアにとっての極東での鉄道建設の意味とは
満鉄と後藤新平 【文装的武備論をめぐって】
小林道彦
後藤新平の大陸構想の中で「文装的武備論」はいかなる意味を持ったのか
創業期満鉄の二重機能について 【1907―1910】
Y・T・マツカサ
「国策」と「営利」の両面を併せもつ満鉄のあり方とは
国策会社満鉄の政治性
加藤聖文
満鉄の政治的位置を内外との関係から明らかにする
関東軍と満鉄
中山隆志
満洲を動かした二つの主役は、互いにどのような関係にあったか
満鉄と在満朝鮮人
伊藤一彦
「五族協和」の満洲において矛盾を担わされた存在
アメリカ人が見た満鉄
F・コールマン
満鉄が支配する、満鉄のための都市、大連の見聞記
留用技術者と満鉄の技術移転 【満鉄中央試験場と鉄道技術研究所を中心に】
長見崇亮
満鉄の技術者たちは戦後の中国に何を残したか
<鼎談>満鉄とは何だったのか
小林英夫+高橋泰隆+波多野澄雄
史上最大の国策会社・満鉄の存在の意味――戦後の日中両国に残したものとは
■「満鉄王国」のすべて
満鉄と日本経済
金子文夫
日本経済と満洲とのかかわりに満鉄が果たした役割
満鉄と国鉄 【技術史的に見る】
前間孝則
満洲と本国との熾烈なライバル関係、その功罪とは
パシナを作った男・吉野信太郎
高橋団吉
満鉄の旅客列車
竹島紀元
満鉄調査部の実像
小林英夫
後藤新平によって創設された稀有の調査機関の軌跡
満鉄中央試験所
加藤二郎
満洲経営の「文装」を体現し、多大な業績をあげた「中試」の全貌
撫順炭礦 【資源・産業開発の基地として】
庵谷馨
満鉄の調査、研究開発事業の最大の成果、その全体像とは
鉄道附属地の都市計画と建築
西澤泰彦
「世界都市」建設をめざした満鉄。その道具としての「満鉄建築」
ヤマトホテルと帝国ホテル
富田昭次
附属地の教育
磯田一雄
植民地経営戦略と教育革新の狭間でなされた在満日本人教育
ハルビン学院とは何だったのか
芳地隆之
満洲のすべての新聞に関与 【満鉄の発信力1――『満日』】
李相哲
満洲言論界に君臨した満鉄のメディア
卓越した対外弘報(宣伝)活動 【満鉄の発信力2――海外向けメディア】
里見脩
優れた対外情報発信能力は、いかにして形成されたのか
日本のドキュメンタリーの壮大な実験場 【満鉄の発信力3――満鉄映画製作所】
岡田秀則
いまだ文献も少ない満鉄映画、その歴史的意味とは
満鉄図書館
岡村敬二
満鉄刊行物の現在
井村哲郎
満鉄関連資料を踏まえた、次段階の満鉄研究が求められている
満鉄総裁列伝 【後藤新平・山本条太郎・松岡洋右】
岡田和裕
大きな影響を残した総裁の三者三様の足跡
■回想の満鉄――満鉄二世の目から
懐かしい満鉄・植民会社満鉄
衛藤瀋吉
どこを切っても満洲のにほひがする
石原一子
私の満洲
松岡滿壽男
満洲での原体験
下村満子
父の言葉
宝田明
私は上海を思い出の中に封印した
中西準子
我故郷両
長谷川元吉
父は満鉄マンだった
杉本恒明
マトコフスキー
加藤幹雄
留用された満鉄人の遺産
高松正司
付録
歴代満鉄総裁
満鉄機構図
満鉄路線図
満鉄の出版物
満鉄沿線都市の観光案内
満鉄の主要駅
満鉄関連年表(天野博之)
編集後記