- エマニュエル・トッド 著
- 石崎晴己 訳=解説
- 四六上製 376頁
ISBN-13: 9784894346888
刊行日: 2009/6
米ソ2大国の崩壊を予言した人類学者の最新作。日本の将来への指針!
大恐慌の中で健全な保護主義を唱えた、ケインズの名論文「国家的自給」(1933年)収録!
世界経済と民主主義を阻害する「自由貿易」というドグマ
トックヴィルが見誤った民主主義の動因は識字化にあったが、今日、高等教育の普及がむしろ階層化を生み、「自由貿易」という支配層のドグマが、各国内の格差と内需縮小をもたらしている。若者・失業者・私企業労働者こそ、真っ先の犠牲者である。
目次
日本の読者へ 民主主義をめぐる普遍性と多様性
民主主義の危機 / 識字化による興隆と高等教育による衰退 / イデオロギーの消滅と現実の直視 / 世界の普遍性と多様性 / 自由貿易という戦争、 保護主義という協調
序 章 サルコジ局面
第1章 この空虚は宗教的な空虚である
政治的解体 / 裏切りの比較研究 / 最も重要なのは宗教的解体 / 無神論の困難 / 無信仰からイスラーム恐怖症へ
第2章 教育の停滞と文化的悲観論
教育の停滞と文化的悲観論 / 空虚vs空虚 ――国民共和主義vs単一思考 / 歴史の方向 ――1690年から2008年までの長期間における教育水準 / アメリカ・モデル / イギリスの楽観論 / 原因の確定は可能か?
第3章 民主制から寡頭制へ
教育による階層化とエリート層への拒絶 ――マーストリヒト条約 / 大衆識字化と民主制の出現 / 教育と革命 / 教育上の階層化の再開と寡頭制の誘惑 / イデオロギー・ピラミッドの終焉 / 社会党の例 ――平等主義から戦闘的ナルシシズムへ / 新人間の心理学 ――説明は後でいいから、 まず確認だけしておこう
第4章 フランス人と不平等――人類学からの貢献
フランス人とアングロサクソン / 権威主義的文化 ――ドイツ・ロシア・中国 / フランスの地域別の多様性 ――初めは暴力的で次いで穏当なものとなった複数政党制の土台 / 平等主義的価値システムはフランスで生き残るか?
第5章 民族化か?
フランスの場合 ――種族闘争から階級闘争へ / 大都市郊外の暴動 ――フランス的危機 / 大統領選挙の最中に郊外の暴動が / アラン・フィンケルクロートと 「反共和主義のポグロム」 / 民族化に反対する労働者と若者たち / 選挙の後 ――社会経済的テーマの回帰
第6章 自由貿易は民主主義への阻害要因
フランス人は自由貿易反対 / 社会主義者たち、 中国、 そしてインド / 2006年11月、 シラクはヨーロッパ保護主義をめぐる論争を凍結する
第7章 階級闘争か?
社会の総体、 有権者の総体 / 教育と富の分離 / 支配集団の収縮とアトム化 / 給与についての自覚から階級意識へ / 宗教的信仰なき階級意識は可能か? / ボボ神話 / 資本の陶酔 / イスラームと中国の間に挟まれたわが国の指導階級 / 階級闘争か民族闘争か
第8章 人類学的土台の極めて緩慢な変化
出生率の変遷 / ヨーロッパの出生率 / 減速 / 家族と国家 / 女性と不平等 / 人類学的基底の自律性と優位
第9章 デモクラシー以後
寡頭制的システムのポピュリズム局面 / 中産諸階級の闖入とポピュリズムの終焉 / 解決1 民族的共和国 (白人の、 キリスト教以後の) / 民族的解決は挫折の可能性が高い / 解決2 普通選挙の廃止
結 論 保護主義、 ヨーロッパ民主主義の最後のチャンス
ヨーロッパの転用
訳 註
原 註
〈資料〉 ケインズ 「国家的自給」 を読む (訳・解説=松川周二)
訳者解説
著者紹介
著者紹介
●エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)
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