- 片山善博 塩川正十郎 粕谷一希 増田寛也 御厨貴 養老孟司 著
- 四六上製 240頁
ISBN-13: 9784894347090
刊行日: 2009/10
一人ひとりから始める
「自治」とは、狭義の地方自治にとどまらない。
一人ひとりが、自分の生活を左右する判断を引き受けて、
責任を持ってそこに参加すること。
そのために、今なにがもとめられているのか?
気鋭の論者が集結した徹底討論の記録。
目次
1 「自治」 の足腰を鍛える 【教育の再生と読書の力】
御厨 貴+片山善博+塩川正十郎
3つの世代とアイデンティティの差
国力の低下と国是の喪失
個人の自立の必要性
団塊の世代の無総括と無責任
公共の精神と自己責任の自覚を
読書を通じて歴史と世界から学ぶ
「情報」 に特化される大学図書館
変われないB世代
本の 「かたち」 を工夫する
読解力の低い日本
韓国の読書教育への試み
教育の比重を高めよ
自治体改革が不可欠である
日本の統治システムの改正を
自治意識の醸成を
夕張の財政破綻は国家にも責任が
お手盛りの行政評価を斥けた鳥取県
議員が担うべき公共的任務
評価をしない国民 ――官尊民卑の根底
学問にも官尊民卑が
行政に 「行政改革」 はできない
国家公務員を 「世間並み」 にせよ
役人の資質向上も必要
評価と処遇の生きるシステムを
政治は 「国家」 を考えているか
危機管理に露呈した官僚体質
自由と自律
武士と公務員における不満と不安
日英修好通商条約150周年と慶応
「考える力」 を養う
戦後日本の 「劣化のシステム」
2 「自治」 を支える知 【メディアとアカデミズムの役割】
粕谷一希+片山善博+塩川正十郎
官僚政治の弊害
議論の不在が政治不在を生む
政治の弱体化 ――制度の問題と議員の質の問題
選挙制度の改革を
人情味のある社会づくりとは
メディア世界の劣化
文科省・厚労省・国交省が問題
社会保障制度の見直しを
ミッションの倒錯があらゆるところに
日本人の政治意識と選挙制度とのねじれ
保守と革新を考えなおす
「小さな政府」 と自己責任の強化
国民の政治的判断は税を通じて
人口増大がもたらす 「民主主義の矛盾」
軽んじられる思想・哲学・倫理・歴史
政治における価値の問題
3 「自治」 の手応えを取り戻す 【官僚依存からの脱却】
増田寛也+片山善博+塩川正十郎
自分で判断する能力が落ちている
国の進路決めるリーダー教育
「資本主義の本質」 を見極めた政策を
経済の裏付けには外交力が不可欠
アメリカの驕りと影響力の低下
バブル資金を環境問題に使わせよ
自治と国際協調
官僚組織の末期症状
「政治」 の真の意味を実体験してみる
市民意識を変えるチャンス
真の分権改革とは市民参加の拡大
地方議会への信頼回復を
国民性変化の過渡期
4 「自治」 から 「公共」 へ 【日本的システムをひらく】
養老孟司+片山善博+塩川正十郎
人間の都合による自然の分断
昔の 「国」 区分は自然区分だった
廃藩置県と平成の大合併
官軍・賊軍と県庁所在地
文化圏と一致しない都道府県境
自治で治められる空間的限界とは
地名変更と住居表示法
「中央」 しか見ていない地方自治体
踏み絵の思想
死ぬと 「世間」 から出る
人の生死に現れる 「世間」 の構造
ヨーロッパ文明と日本の公私
日本と世界の倫理観
世界基準にどう対応するか
日本型のリーダー選出方法
政党の使命とは
有事にこそ 「本気」 が問われる
リーダーは背負わねばならない
刹那的な企業評価がもたらす金融偏重
考えを変えるには、 まず体を使え
日本を世界平均に “下げる” べきか
責任を引き受けることが自治の根底
長期的・基本的な問題を審議する場を