- 多田富雄 著
- 四六変上製 288頁
ISBN-13: 9784894347953
刊行日: 2011/4
脳梗塞で倒れた後の全詩を集大成
「僕は、絶望はしておりません。長い闇の向こうに、何か希望が見えます。そこに寛容の世界が広がっている。予言です。」2001年に脳梗塞で倒れてのち、声を喪いながらも生還し、新作能作者として、リハビリ闘争の中心として、不随の身体を抱えて生き抜いた著者が、2010年の死に至るまで、全心身を傾注して書き継いだ詩のすべてを集成。
目次
臨終の記 (多田式江)
歌 占
新しい赦しの国
二〇〇一年の終わりに
影の行方 小島章司のフラメンコ『Encuentro(邂逅)』を見て
二〇〇二年十二月二十三日
雨と女 山本順之の『定家』を見て
死者たちの復権 麿赤兒の舞踏『大駱駝艦』を見て
泥の人 森山開次のダンス『月日記』を見て
アフガニスタンの朝長 友枝昭世の『朝長』を見て
神様は不在
時の盗賊 柴田昂徳君(子方)演ずる『烏帽子折』を見て
オートバイ ケンタウロスに捧ぐ
二〇〇三年十二月二十五日
弱法師 森山開次のコンテンポラリーダンス『弱法師』と、故高橋進の能『弱法師』の記憶とともに
水の女 野村四郎の『采女』に寄せて
卒都婆小町 観世榮夫の『卒都婆小町』を見て
見知らぬ少年
二〇〇五年新春
いとしのアルヘンティーナ
荒野を渡る風の挽歌
カメレオン
二〇〇五年十二月二十四日
堤防の上の月
OKINA
水を汲む女 能『檜垣』を見て
DNAの舟
二〇〇六年十二月十七日
君は忿怒佛のように
インドの闇
ガラス
まだ見ぬスペイン
二〇〇七年十二月二十三日
波に飛ぶ鳥 ニールス・カイ・イェルネの少年時代に
王のチェスゲーム イェルネの老年の日々に
神話・世界地図
夏の夜は
二〇〇八年十二月二十三日
〈遺稿〉
縮れ毛の男 ガンダーラ展を見て
モロッコ残像
二〇〇九年十二月十九日
カントウズⅡ 式江に
解説 『詩集 寛容』を読んで (石牟礼道子)
初出一覧