- 粕谷一希 著
- 四六上製 320頁
ISBN-13: 9784894348257
刊行日: 2011/10
“最高の漢学者(シノロジスト)にしてジャーナリスト”
中国文明史の全体を視野に収めつつ、同時代中国の本質を見抜いていた、京大東洋史学の泰斗、内藤湖南(1866-1934)。日本と中国との関係のあり方がますます問われている今、湖南の膨大な業績から、我々は何を学ぶことができるのか?
目次
はしがき
1 内藤湖南の郷宅
―― 秋田毛馬内紀行
秋田一周ドライブ紀行の企て
湖南の家柄
滝田樗陰と内藤湖南
京都大学の史学と哲学
『日本文化史研究』 抄
2 新聞記者時代
―― 政治・言論・学問
瓶ノ原紀行
全集と月報
池辺三山と内藤湖南
高橋健三という存在
八回の中国旅行
“脱亜入欧” ということ ―― 明治日本から大日本帝国へ
新聞記者から学者の道へ
3 支那論の位置
―― 同時代中国をどう見るか
法然院
『京大東洋学の百年』
書痴の方法
『支那論』 の位置
湖南の問題と湖南の新しさ
4 通史の独創性
―― 全体 (文明) の観察者たち
史林散策
『支那上古史』 の成立過程
『支那中古の文化』
時代区分論
同僚の巨匠たち
東北再訪
5 文化史的方法に就いて
―― 日本文化の成立過程
『支那近世史』 ―― 通史の独創性 (続)
文化史の重視
津田左右吉と内藤湖南 ―― 増淵龍夫氏の問題提起
文化とは何ぞや
『日本文化史研究』
平野神社・大覚寺散策
6 中公クラシックス版 『東洋文化史』
―― その視点の新しさ
『東洋文化史』 の新しさ
『東洋文化史研究』 のエッセンス
『支那上古史』 緒言
「概括的唐宋時代観」
「近代支那の文化生活」
近代の生活要素
民主主義と民族
7 支那史学史
―― 近代日本の歴史意識
近代日本における歴史意識
湖南史学の雄大さ
中島敦と武田泰淳
現代歴史意識の混迷
将来世界に向かっての偶然性と可能性
8 宮崎市定の位置
―― 『アジア史論』 の方法と磁場
京大史学科の伝統
「世界史序説」
宮崎史学の豊饒と強運
東洋史の上の日本
偉大なる歴史家の条件
9 世界史的立場と日本
―― 世界史と歴史哲学の間
大島メモの語るもの
哲学科・史学科に共通する歴史認識
鈴木成高史学の独創性
世界史の理論
転換期の姿
10 『文明の生態史観』 以後
―― 梅棹忠夫の仕事
生態史観の構想と誕生
戦後日本の昂揚期、 司馬文学と共に
『東西文明の交流』
上山春平 『歴史と価値』
『日本は自らの来歴を語りうるか』
11 ふたたび 『支那論』 に戻って
―― 中国はどこへゆくのか
靖国問題と反日感情
中国の国内事情
共産国中国の行方
内藤湖南と新中国
東洋的近世
12 学問全体への問い
―― 支那目録学の世界
目録学とは?
現代史学とその批判
結
中国にどう対するべきか
小島祐馬先生の中国観
内藤湖南は甦る
内藤湖南略年譜 (1866-1934)
著作一覧
人名索引