- チャールズ・A・ビーアド
- 開米潤=監訳 阿部直哉・丸茂恭子=訳 粕谷一希=跋
- A5上製 448ページ
ISBN-13: 9784894348370
刊行日: 2012/01
「戦後の世界史を修正」――幻の名著、遂に完訳!
1941年12月8日、日本は遂に対米開戦に追い込まれる――。
大統領ルーズベルトが、非戦を唱えながら日本を対米開戦に追い込む過程を膨大な資料を元に容赦なく暴き、48年に発刊されるも直ちに「禁書」同然に扱われ、占領下日本でも翻訳されることのなかった政治・外交史の大家の幻の遺著、遂に完結!
「1948年、ビーアドが死ぬ4ヵ月前に公刊した本書は、ルーズベルトの政策に批判的であり、第二次世界大戦そのものに批判的であった。それは東京裁判のように、“文明が野蛮を裁く”のではなく、文明と文明の衝突であり、連合国の側にも問題があることを指摘したものであった。当時の雰囲気ではとても公認できず、アメリカ政府は黙殺した。本書の飜訳は、戦争と戦後の世界史を修正するものであろう。」(粕谷一希)
目次
第Ⅱ部 実態を明らかにする(承前)
第11章 陸軍と海軍の両委員会に崩された公式の説
第12章 連邦議会委員会が真珠湾事件に関する記録を調査し報告
第Ⅲ部 真珠湾資料に記された実態
第13章 公式の説としての罪の所在をつくり出す
第14章 極秘の参戦決定と戦争計画
第15章 大西洋会談の現実
第16章 日本との関係における「込み入った戦略」
第17章 日本が最初に発砲するよう導く
第Ⅳ部 エピローグ
第18章 結果で評価される解釈
原 注
監訳者あとがき
〈跋〉チャールズ・ビーアドという巨人 粕谷一希
監訳者解説
関連年表(1931-1946年)/事項索引/人名索引
関連情報
1941年12月7日、日本の航空機がハワイの真珠湾でアメリカ海軍の軍艦多数を攻撃しました。アメリカ人の圧倒的多数が戦争を支持して結集しました。彼らは日本がアメリカに、なんら正当な理由もないままに戦争を仕掛けたのだと思っていました。一方で、アメリカが戦争に至った原因のひとつには、アメリカの政策もあったと考える人たちもいたのです。チャールズ・ビーアドもそのひとりでした。
ルーズベルト大統領が日本の奇襲に劇的な効果を与えるために、アメリカが日本海軍の暗号を破って入手した日本の計画をハワイの軍司令官たちに知らせなかった、と考える人たちもいました。ビーアドは事実としての事態を追及し、これを書き続けました。そのためにかつて非常に高かった人気は失われ、旧友たちも離れていきました。彼のしていることは祖国に対する背信行為だと責められたことすらありました。(…)もし、あと数年生きていたら、ルーズベルト大統領がアメリカを紛争に導くためにそれと分かっていながらさまざまな措置を講じた、という立場をとる学者がほかにも現れるようになって、自分の名声がおおいに回復するのを目の当たりにできたでしょう。
ハーバード大学名誉教授 デートレフ・F・ヴァクツ