開米潤 編
A5並製 304ページ
ISBN-13: 9784894348837
刊行日: 2012/11
日米関係、そして戦後世界を考えるための必読書を読み解く!
「日米関係の核心は、中国問題にあり」と1920年代に看破した、チャールズ・A・ビーアドとは、いったい何者か?
公文書を徹底解読し、日米開戦に至る真相に迫ったビーアド最晩年の遺作にして最大の問題作『ルーズベルトの責任』を、いま、われわれはいかに読むべきか?
目次
はしがき 開米潤
I チャールズ・ビーアド――人/学風/業績
序 チャールズ・ビーアドという巨人 粕谷一希
〈座談会〉人/学風/業績――ビーアド博士をしのびて(1958年)
蝋山政道+高木八尺+鶴見祐輔+松本重治+前田多門(司会)
II 『ルーズベルトの責任』を読む
序 祖父チャールズ・A・ビーアドについて デートレフ・F・ヴァクツ
1 『ルーズベルトの責任』を読む
青山やすし/渡辺京二/岡田英弘/小倉和夫/川満信一/松島泰勝/
小倉紀蔵/新保祐司/西部邁/榊原英資/中馬清福/三輪公忠
2 同時代人によるビーアドの評価
マシュー・ジョセフソン/リチャード・ホフスタッター/
ハワード・K・ビール/ハロルド・J・ラスキ
III ビーアドの外交論と世界の未来
序 「大陸主義」は世界平和をもたらす積極外交である 開米潤
1 「大陸主義」とは何か――『アメリカのための外交政策』(1940年)抄訳
チャールズ・A・ビーアド
2 ビーアドの衝いたアメリカの「独善」――アメリカはどこへ向かっているのか 開米潤
3 日米関係の核心は中国問題である 丸茂恭子/阿部直哉/開米潤
〈附〉アメリカ史略年表/ビーアドの歴史関連著作の販売部数/ビーアド著作一覧
関連情報
ビーアドと『ルーズベルトの責任』は日本社会では戦後、ずっと無視され続けた。それはいったいどうしてなのか。(…)
米国では今でも「真珠湾でなぜ、あれだけの被害を被ったのか」という議論が生きている。戦勝国であるアメリカが二度とあの惨劇を生まないために真珠湾の悲劇にこだわっているのに対して、敗戦国である日本は素知らぬ顔を決め込んでいる。ビーアドがルーズベルトにも戦争責任があったと言っても、「あれはインチキですから」と切り捨てる一部の知識人の姿勢。戦後の日本は経済にしろ、安全保障にしろ、アメリカを抜きにしては何も始まらなかった。おそらく、知米家であればあるほどそうした意識が強く、アメリカに対する?遠慮?となるのだろう。『責任』が長い間、日本社会で無視されてきた背景には、こうした自己欺瞞とアメリカに対する自己抑制の論理がある。それが思考停止の大きな要因なのである。
(本書「はしがき」より)
●開米潤(かいまい・じゅん)
1957年福島県いわき市に生まれ育つ。東京外国語大学卒業後,共同通信社記者,『外交フォーラム』編集顧問などを経て株式会社メディア グリッドを設立,その代表に就任。政治,経済,国際問題など幅広い分野でジャーナリスト活動を行う。明治大学大学院都市ガバナンス研究所研究員。著書『松本重治伝――最後のリベラリスト』(藤原書店,2009年)監訳書『ルーズベルトの責任――日米戦争はなぜ始まったか』(藤原書店,2011-12年)。