- 内田義彦 著
- 四六変上製 392頁
ISBN-13: 9784894349445
刊行日: 2013/11
“型”を喪失した現在のキミたちへ!! 内田義彦生誕百年記念出版!
ロングセラー『経済学の生誕』『資本論の世界』で知られる社会科学者、内田義彦の、著作集未収録作品を中心に編まれた最後の作品集『形の発見』(1992年)から20余年、全面的に改訂をほどこした決定版。
目次
プロローグ
話をきく話
きくこと 読むこと 江藤文夫・内田義彦
一枚のレコード――作曲家ベルクの講演
Ⅰ かたち/ことば
形の発見――伝統と現代をめぐって 丸山眞男・木下順二・内田義彦
話しことばの書きことば性と書きことばの話しことば性
チェーホフの魅力
賢治の世界と人間
日本の美学――加藤周一『稱心獨語』を読んで
『夕鶴』の世界 森有正・内田義彦
悠々たるテンポの感覚――森有正さんのこと
Ⅱ ことば/いのち
手紙のローザ・ルクセンブルグ――生命と自然
科学の眼 人間の眼
経済人について
レンブラントの大塚さん
人間・社会・自然――現代の底流をみつめる 野間宏・内田義彦
社会科学と自分の眼
Ⅲ いのち/まなび
若き日のアダム・スミス
学問と倫理
大学とは何か――学問と教育を問い直す
「教養」とは何か
臨床の視座
笑いへの想像力 大江健三郎・内田義彦
改訂新版へのあとがき――内田義彦生誕百年によせて 山田鋭夫
初出・書誌一覧
内田義彦 略年譜
内田義彦 著書一覧
内田義彦セレクション全巻一覧その他
関連情報
▼一方で型を、形は形で別に教えておいて、その形を生かす内容追求は穴をあけておく。教えないで自発に待つわけだ。泣けてくるったって、いろいろな泣けてきかたがあるわけで、それには内容を正確に知るほかない。手を尽して内容を掘り下げ掘り起こす作業のなかで、教えられた型がピタリと、まさにかくあるはずであったという形で決まってくる。そのようにして型を想念の中心に置きながら内容を理解していく。それを待つわけだ。
▼もっとも形をあらかじめ教えておくといっても、「できた」という声が出てくるのは教えた型の文字通りの再現じゃあるまい。そんなつまらないものじゃできたとはいわんだろうからね。教えた方もびっくりして、ああなるほどそういう型もという、その人独自の創造された型でなきゃあね。そのようにして、一方で型の伝受が、他方で内容追求の仕方の伝受が行なわれるわけだ。
(本書より)