- 大田堯 著
- 四六変上製 328頁 口絵1頁
ISBN-13: 9784894349469
刊行日: 2013/11
教育はアート
生命(いのち)と生命(いのち)とのひびき合いの中でユニークな実を結ぶもの
「人間は生まれたときから学びが始まっているわけです。ですから学びというものを、学校教育の活動の一部というように矮小化して考えてはいけません。受精卵が子宮に定着したときから自発的な成長発達を遂げ、生まれてからも自ら育っていくという学習能力があり、死ぬまで学習が続くのですから。
学習というのは人間の生命と運命を同じくしていると考えてもまちがいはないと思います。子ども一人ひとりがそれぞれ新鮮でユニークな設計図をもっているのですから、それを助けるというのが『教育』ということです。自分に同化を求めるということではなくて、その子その子がもっている自己本位という疑いのない生物の生命力、成長力に深く信頼をするということです。」
(本書より)
[月報]今泉吉晴/中内敏夫/堀尾輝久/上野浩道/田嶋一/中川明/氏岡真弓
目次
総序――未来に託して
第1巻はしがき
1 子育て・教育はアート
生きること 学ぶこと――そして私たちはどう生きるか
子育てはアート――感性による人間関係のひびき合い
教育はアート――その遺産から考える
2 ひとなること/ひとねること
ヒトの子育てについて
習俗社会と子育て
3 子どもの身になって――社会的文化的胎盤を生きる
現代世界における子どもの権利――文明と野生と
子どもの権利条約を読み解く
人間にとって教育とは
初出一覧
あとがき
関連情報
◆本自撰集成を推す◆
谷川俊太郎(詩人)
「〈アートとしての教育〉は人間の繊細で微妙なあり方にかかわっています」
中村桂子(生命誌研究者)
「『ちがう、かかわる、かわる』という人間の特質を基本に置く教育」
山根基世(アナウンサー)
「真の教育とは、かくも感動的なアートでありうるのか」
まついのりこ(絵本・紙芝居作家)
「この光こそ、子どもたちの求めているもの。私たちが求めつづけるもの。」
著者紹介
●大田堯(おおた・たかし)
1918年生。教育研究者(教育史・教育哲学)。広島県出身。東京帝国大学文学部卒業。東京大学教育学部教授、学部長、日本子どもを守る会会長、教育科学研究会委員長、日本教育学会会長、都留文科大学学長、世界教育学会(WAAER)理事などを歴任。東京大学名誉教授、都留文科大学名誉教授、日本子どもを守る会名誉会長、北京大学客座教授。
主な著作は『かすかな光へと歩む』(一ツ橋書房)、『教育の探求』(東京大学出版会)、『教育とは何か』(岩波新書)、『地域の中で教育を問う』(新評論)、『子は天からの授かりもの』(太郎次郎社)、『生命のきずな』(偕成社)、『子どもの権利条約を読み解く』(岩波書店)ほか多数。
2011年には、教育を通して人間を見つめ続けてきた大田堯の思索と行動の軌跡を追った映画「かすかな光へ」(監督・森康行)が完成し公開された。2013年10月現在、全国300カ所以上で自主上映が展開中。(写真は映画「かすかな光へ」より)
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです