- 藤原書店編集部 編
- A5並製 336頁
ISBN-13: 9784894349599
刊行日: 2014/3
内田義彦の全体像、その現代性。
いま、なぜ内田義彦なのか?
『資本論の世界』『経済学の生誕』で知られる経済学者、そして『学問への散策』『作品としての社会科学』等のやさしく深い文章で、学問は一人一人が「生きる」こととつながる、と砦に閉じこもる学界を解放した、稀有な思想家。
内田義彦生誕100年記念出版
目次
〈プロローグ〉内田義彦 「生きる」を問い深めて 山田鋭夫
Ⅰ 今、なぜ内田義彦か
1 今、なぜ内田義彦か〈座談会〉
中村桂子+三砂ちづる+山田鋭夫+内田純一
2 今、内田義彦を読む
片山善博 花崎皋平 山﨑怜 竹内洋 海勢頭豊 山田登世子
稲賀繁美 田中秀臣 松島泰勝 宇野重規 小野寺研太
Ⅱ 内田義彦を語る
1 内田義彦と私
野間宏 山本安英 木下順二 杉原四郎 福田歓一 竹内敏晴 江藤文夫
天野祐吉 住谷一彦 山﨑怜 一海知義 加藤亮三 中村桂子 山田真
山田登世子 野沢敏治 笠井賢一 南堀英二 朴才暎 都築勉
2 内田義彦を語る夕べ
山田鋭夫 木下順二 川喜田愛郎 長幸男 吉澤芳樹 山之内靖 有馬文雄
田添京二 山﨑怜 南堀英二 山本稚野子 永畑道子 福島新吾 福田歓一
唄孝一 玉垣良典 石田雄 江藤文夫 内田純一 内田宣子
Ⅲ 内田義彦が語る
内田義彦の生誕――内田義彦はいかにして内田義彦になったか(山田鋭夫=編)
内田義彦の知られざる文章から
“神話”の克服へ/読むこと きくこと/読んでわかるということ/
社会科学の文章/他の生物とちがう人間の特殊性/資本主義に独自なダイナミズム/
教育批判への視座/覚書世界史年表
〈エピローグ〉 内田義彦の書斎――遺されたものに想う 内田純一
〈付〉主要作品解説/略年譜/著作目録
関連情報
子供の頃から理科、とくには化学の実験が大すきでした。手許にあった本と首っぴきで実験をしていた私は、突然兄貴にどやしつけられました。本のページを拾いながら実験をするとは何事だ、というんです。あまりの激しさにびっくりした私に、兄はこう話してくれました。
指導書というものは、あらかじめよく読んで内容と手続きをしっかり頭の中に入れておくべきものだ。眼はあくまで本ではなく、そこに起こっている現象そのものに注がれていなければならない。その手続きを怠ると、目が本のページに奪われて、肝心の、起こりつつある現象の観察がお留守になる。第一、実験をしてみると、本に書いてある通りのことがそのまま起こるわけではない。いろんなことが起こる。それを見きわめなければならない。そこで初めて本の知識が、自分の知識になる。
(内田義彦)