- 藤原書店編集部 編
- A5並製 432頁
ISBN-13: 9784894349773
刊行日: 2014/6
今、なぜ後藤新平か?
現代に生きるわれわれは、百年先を見通し、近代日本のあるべき道を指し示した
後藤新平に何を思い、何を託すのか。100人を超える各界識者が描く多面的後藤新平像。『機』誌の大好評連載と『環』誌寄稿の単行本化。
鶴見和子/青山佾/粕谷一希/増田寛也/榊原英資/岩見隆夫/塩川正十郎/三谷太一郎/竹中平蔵/緒方貞子/加藤丈夫/大宅映子/橋本五郎/川勝平太/中村桂子/下河辺淳/鈴木博之/西
澤潤一/渡辺利夫/苅部直/小倉和夫/三宅正樹/片山善博/尾崎護/吉田直哉/葛西敬之/五十嵐敬喜/山田孝男/髙橋力/ウヴァ・ダヴィッド/松岡滿壽男/ワシーリー・モロジャコフ/上垣外憲一/サーラ・スヴェン/福田勝幸/藤森照信/李登輝/鈴木俊一/北原糸子/新村拓/養老孟司/梅森健司/藤原作弥/椎名素夫/赤坂憲雄/森繁久彌/小島英記/佐藤優/最相葉月/辻井喬/篠田正浩/由井常彦/鶴見俊輔 ほか
目次
はしがき 青山佾
序 「石をくほます水滴も」 鶴見和子
◆天 後藤新平の思想
〈先覚者・後藤新平〉
文明の創造者 粕谷一希
二十一世紀にこそ求められる真のリーダー、後藤新平 増田寛也
現実を踏まえた構想力 榊原英資
構想力が求められる時代 岩見隆夫
後藤新平、大人の魅力 塩川正十郎
渇望される卓越した指導力 大星公二
後藤新平の遠眼鏡 加藤聖文
国家経営者のモデルとしての後藤新平 三谷太一郎
「大きな絵」と「後藤流“政治力”」 竹中平蔵
鶴見祐輔による「幻」の後藤新平論 春山明哲
「開発支援」に生きる後藤新平の思想 緒方貞子
〈自治の思想と都市の構想〉
「自治三訣」の心 加藤丈夫
熊沢蕃山と後藤新平 鈴木一策
“公”の人、後藤新平 大宅映子
科学的精緻と宗教的情熱の人 橋本五郎
中央に頼らぬ「自治」の精神 川勝平太
「本能」としての自治 三砂ちづる
「生活」こそすべての基本 中村桂子
東京の未来と後藤新平 下河辺淳
後藤新平の自治論と都市論 青山佾
細部に宿る後藤新平の精神 鈴木博之
後藤の複眼的「ものの見方」 西澤泰彦
文明の素養をもった政治家 松葉一清
〈世界認識〉
国際関係の先駆者、後藤新平 西澤潤一
“国際開発学の父”としての後藤新平 渡辺利夫
後藤新平の衛生国家思想 姜克實
闘争と調和――後藤新平の国家観と国際秩序観 苅部直
アジア観の転換のために 小倉和夫
後藤新平の高い知性と広大な視野 三宅正樹
◆地 後藤新平の仕事
〈後藤新平の“流儀”〉
後藤新平のミッションに学ぶ 片山善博
後藤の構想ロジックと情報作法 三神万里子
客観性のある調査研究の大切さを教えた後藤新平 片山善博
後藤新平と東京駅 小野田滋
後藤新平と出雲大社 玉手義朗
〈内政・公共の精神〉
後藤新平の「大風呂敷」 中田宏
ふたりの「大風呂敷」 尾崎護
偉大な行政官――構想力と実行力 榊原英資
「放送開始!」あの気宇を 吉田直哉
鉄道の先駆者、後藤新平 葛西敬之
後藤新平と東京自治会館 中島純
「格差」をおそれず「画一」をおそれよ 笠原英彦
後藤新平が「入閣」したら? 五十嵐敬喜
後藤新平と小沢一郎 山田孝男
後藤新平と政党政治 千葉功
「政治の倫理化」とは何か――企画展「政治とは何ぞや――自治三訣と政治の倫理化」 髙橋力
〈外交・植民地経営〉
「科学的植民地主義」の先駆者 ウヴァ・ダヴィッド
後藤新平を憶う 松岡滿壽男
日露協会学校と後藤新平 小林英夫
ロシアから見た後藤新平 ワシーリー・モロジャコフ
伊藤博文からみた後藤新平 上垣外憲一
劇中劇としての「厳島夜話」 堤春恵
後藤新平とドイツ サーラ・スヴェン
台湾とのつながり 松原治
台湾協会学校と後藤新平 福田勝幸
阿里山と後藤新平 藤森照信
八田與一から後藤新平を想う――いま、彼の何が必要なのか 加来耕三
後藤新平と私 李登輝
〈震災復興・都市計画〉
優れた都市行政の先達 鈴木俊一
後藤新平の足跡を辿った都庁時代 青山佾
後藤新平と同潤会アパート 大月敏雄
震災前に生まれていた復興小学校 吉川仁
東日本大震災の直後に 波多野澄雄
後藤新平の震災復興 丸茂恭子
関東大震災の資料から 北原糸子
敗北の美学 山岡淳一郎
帝都復興から八〇年を控えて 川西崇行
「くにたち大学町」の誕生と後藤新平 長内敏之
〈医療・衛生〉
後藤新平のルーツ 平野眞一
海水浴と後藤新平 小口千明
厚生行政の先輩 新村拓
後藤新平と北里柴三郎――日本の公衆衛生の先覚者 大村智
「建設的社会制度」の構想 宮城洋一郎
日本人女性の寿命を延ばした男 養老孟司
〈人材育成〉
教育者、後藤新平 草原克豪
拓殖大学への貢献 福田勝幸
笈を負ふて都に出づ 中島純
わが国初の「大学拡張」事業 岡田渥美
後藤新平の心を次世代に 及川正昭
「そなへよつねに」――少年団の使命と自治の精神 春山明哲
ボーイスカウト誕生秘話 新元博文
◆人 後藤新平を生み育てた人と風土
〈ふるさと(水沢・須賀川)〉
ふるさと水沢と後藤新平 平澤永助
少年は大志を抱いていた 梅森健司
水沢の三偉人 吉田瑞男
自治の町・須賀川と後藤新平 菊地大介
後藤新平を師と仰いだ十河信二 梅森健司
〈家族・親族〉
わが父・後藤新平 河﨑武蔵
“平成の後藤新平”待望論 藤原作弥
『無償の愛』を書き終えて 河﨑充代
時代を超える「作品」 椎名素夫
二人の和子、武家の女の系譜 赤坂憲雄
後藤新平と鶴見祐輔 上品和馬
細川家と安場家と後藤新平 細川佳代子
〈後藤新平の魅力〉
大胆にして細心 小林英夫
不思議な縁 森繁久彌
「シチズン」と命名した後藤新平 梅原誠
人間、この奥深きもの 小島英記
今なお色褪せない後藤新平の言葉 阿部直哉
後藤新平の「心ばえ」 春山明哲
威風堂々のズウズウ弁 冠木雅夫
底知れぬ危うさと魅力 関厚夫
「後藤新平文書書翰史料」の世界 檜山幸夫
「私は東京拘置所で後藤新平に助けられた」 佐藤優
〈ゆかりの同時代人〉
斎藤実 佐々木隆男
新渡戸稲造 湊晶子
新渡戸稲造 内川頴一郎
徳富蘇峰 米原謙
内藤湖南 小野泰
星一 最相葉月
岸一太 能澤壽彦
チャールズ・A・ビーアド 開米潤
堤康次郎 辻井喬
伊藤野枝 堀切利高
尾崎秀実 篠田正浩
〈実業家との交流〉
渋沢栄一/益田孝/安田善次郎/大倉喜八郎/浅野総一郎――後藤新平と実業家たち 西宮紘
渋沢栄一 見城悌治
渋沢栄一 市川元夫
益田孝 粕谷誠
安田善次郎 安田弘
安田善次郎 由井常彦
大倉喜八郎 村上勝彦
浅野総一郎 新田純子
終 祖父・後藤新平について 鶴見俊輔
後藤新平 略年譜(1857 1929)
初出一覧
人名索引
関連情報
現代人が後藤新平を語るとき、そのジャンルは、政治・外交・経済・都市・衛生・防災から文化・文明さらには人生・リーダーシップ論まで多岐にわたる。後藤新平を語る人たちの専門分野もまた、市民活動家・実業家・政治家・ジャーナリスト・作家・学者そのほか広汎にわたる。
後藤新平は、日本が日清・日露戦争を経て産業革命を果たし、本格的な近代化への道を歩んだ時期に、台湾総督府民政長官、満鉄総裁、逓信大臣、内務・外務大臣、東京市長、帝都復興院総裁、東京放送(現NHK)初代総裁などを務めて常にその最前線に身を置いて活躍した。
経済のグローバル化や貧困問題、領土問題、安全保障のあり方など、日本の社会や進路をめぐって難しい問題が山積し議論が混迷しているかのように見える今だからこそ、日清・日露戦争、関東大震災、対ソ連外交、世界不況、植民地紛争など国難に正面から対処した後藤新平を論じることは日本の未来を論じることにつながっていく。
(本書「はしがき」より)