- 大田堯 著
- 四六変上製 376頁 口絵1頁
ISBN-13: 9784894349797
刊行日: 2014/7
「教育という仕事は、一人ひとりのユニークな変化をとげる個体、相手の身になって考えることが不可欠です。」
教育のことは、お上にゆだねる、この場合の教育とは、「一人ひとりのもち味を引き出す」ための環境を整えるという、政権本来の責務としてのeducationではなく、むしろ上からの「教育」への同化・同調を求める、正確には上からの教化の受け入れを求めるということです。
この集成の望むところは、政権の上からの教化・同調に安易にくみしない、本当の教育とは何かを、多くの国民、主権者としての立場に立って考え合おう、そのための一つの提案として、集成を受けとめていただきたい、ということです。
[月報]岩田好宏・中森孜郎・横須賀薫・碓井岑夫・福井雅英・畑潤・久保健太
目次
第4巻はしがき
1 教育の現状によせて
生命から教育を考える――集成全巻のキーワード
早春賦の思い――教育の現状によせて
『はらぺこあおむし』と学習権
〈コラム〉問と答の間
生命のきずなを求めて
〈コラム〉わくわく はらはら
子育てから人間の心の危機を考える
2 教育から共育へ――中小企業家同友会との交流から
〈コラム〉一枚のちらし
教育とは何か――学校・社会・企業すべてに共通する人育ての本質
中小企業経営者は演出家 (対談)大田堯+大久保尚孝
〈コラム〉院長室のない病院
「豊かさ」の中でどう生きるか
共に生き、共に育つ――生命のきずなを
〈コラム〉課題としての地域
3 教育を通しての人間研究
同和教育ということ――差別の克服を
一つの学力論――きき上手ということについて
選びながら発達することの権利について
〈コラム〉サークルについて想うこと
中教審答申の貧しさ
人間が発達するとはどういうことか
〈コラム〉「法隆寺はだれが建てたか」
教育への権利意識を問う――家永教科書裁判にかかわって
子どもが輝く学校に (座談会)大田堯+如月小春+小田富英
[附]学習権宣言
初出一覧
あとがき
関連情報
◆本自撰集成を推す◆
谷川俊太郎(詩人)
「〈アートとしての教育〉は人間の繊細で微妙なあり方にかかわっています」
中村桂子(生命誌研究者)
「『ちがう、かかわる、かわる』という人間の特質を基本に置く教育」
山根基世(アナウンサー)
「真の教育とは、かくも感動的なアートでありうるのか」
まついのりこ(絵本・紙芝居作家)
「この光こそ、子どもたちの求めているもの。私たちが求めつづけるもの。」
著者紹介
●大田堯(おおた・たかし)
1918年生。教育研究者(教育史・教育哲学)。広島県出身。東京帝国大学文学部卒業。東京大学教育学部教授、学部長、日本子どもを守る会会長、教育科学研究会委員長、日本教育学会会長、都留文科大学学長、世界教育学会(WAAER)理事などを歴任。東京大学名誉教授、都留文科大学名誉教授、日本子どもを守る会名誉会長、北京大学客座教授。
主な著作は『かすかな光へと歩む』(一ツ橋書房)、『教育の探求』(東京大学出版会)、『教育とは何か』(岩波新書)、『地域の中で教育を問う』(新評論)、『子は天からの授かりもの』(太郎次郎社)、『生命のきずな』(偕成社)、『子どもの権利条約を読み解く』(岩波書店)ほか多数。
2011年には、教育を通して人間を見つめ続けてきた大田堯の思索と行動の軌跡を追った映画「かすかな光へ」(監督・森康行)が完成し公開された。2013年10月現在、全国300カ所以上で自主上映が展開中。(写真は映画「かすかな光へ」より)
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです