- 青山佾 著
- 四六並製 408頁
ISBN-13: 9784894349957
刊行日: 2014/10
欧米・アジアの約50都市を歩いてわかった、「東京」の魅力、そして課題とは?
巨大都市・東京の副知事を長年務め、ハードおよびソフトとしての都市を熟知する著者が、実際に訪れたニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、バルセロナ、モスクワ、北京、ホーチミンなど世界の約50都市と比較しながら、自治・防災・観光資産・交通・建築など多角的視野から考える、「東京」の歴史・現在・未来。
目次
■本書に登場する都市■
第Ⅰ部 アメリカ
ニューヨーク/ボストン/ハーバード大学とその周辺/シカゴ/ワシントンDC/
シアトル/サンフランシスコ/ロサンゼルス/ニューオーリンズ
第Ⅱ部 ヨーロッパ
ロンドン/レッチワースとウェルウィン/ブライトン/オスロ/アントワープ/
パリ/バルビゾンとフォンテーヌブロー/アヴィニョン/ベルリン/ミュンヘン/
フランクフルト/ポツダム/ニュルンベルク/ローテンブルク、アウクスブルク/
ウィーン/ザルツブルク/バルセロナ/ビルバオ/ゲルニカ/テネリフェ/
ローマ/ヴェネツィア/フィレンツェ/ミラノ/アテネ/モスクワ
第Ⅲ部 アジア
北京/上海/大連/成都/香港/台北など台湾の諸都市/ソウル/大田広域市/
ホーチミン・シティ/ハノイ
関連情報
「母が心筋梗塞で九三年の人生を閉じたとき、ふた晩、遺体の傍らに添い寝して、「母の人生のハイライトは何だったのだろう」と考え続けた。最もうれしそうだった表情を見せたのは、たぶん海外旅行だったかなと思う。小説や映画で見た場面をパリ旅行で実際に体験したからうれしかったのだ。
パリには、そういう魔力がある。エッフェル塔はその象徴だ。東京は、そういうものをもっているだろうか。世界の人が東京に旅行して、何を思い出にして生き、死んでいくのだろうか。清潔で機能的で安全なまちを私たちは確かにつくった。少なくとも世界のほかの大都市に比べれば、これらの点で劣ることはない。百歩譲っても、ワシントンやニューヨーク、パリやロンドンにあるような広大なスラムは、東京にはない。
しかし、私たちはまだ、東京に、世界の人の心に残るようなものをつくっていない。もしかすると、そういうものは、なくてもいいのかもしれない。あるいは、建築物でなくてもいいのかもしれない。この際、清潔さと機能性と安全さを徹底することを世界の人に誇ればいいのかもしれない。」
(本書より)
著者紹介
●青山佾(あおやま・やすし)
1943年東京生。明治大学公共政策大学院教授。都市論、日本史人物論、自治体政策。中央大学法学部卒業。1967年都庁入庁。都市計画局課長、高齢福祉部長、計画部長、政策報道室理事などを歴任。99~03年、石原慎太郎知事の許で東京都副知事。2004年より現職。
著書に『石原都政副知事ノート』(平凡社新書、2004年)、『自治体の政策創造』(2007年)『都市のガバナンス』(2012年、共に三省堂)、『痛恨の江戸東京史』(祥伝社黄金文庫、2008年)『10万人のホームレスに住まいを!――アメリカ「社会企業」の創設者ロザンヌ・ハガティの挑戦』(藤原書店、2013年)ほか多数、郷仙太郎名義で『小説 後藤新平――行革と都市政策の先駆者』(学陽書房人物文庫、1999年)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです