- 中村桂子 著
- B6変判上製 256頁
ISBN-13: 9784865783285
刊行日: 2021/10
私たち生きものは
皆 ひとつの細胞から始まり
38億年の歴史をもっている。
東日本大震災、新型コロナウイルス感染症、地球温暖化……
社会が転換期を迎える今、
“私たちは生きている”という原点に立ち返ってみよう。
目次
Ⅰ 生きているを見つめ、生きるを考える
はじめに――昆虫もラジオも
1 身近な生きものたちを見つめて
「自然を見なさい」と語るムシ
子孫を残すためのしくみ
タコがすごい!――タコの祖先はアンモナイト
擬態に再生にと忙しいナナフシ
海の棲みやすさを選んだ肺魚
サンゴと藻の共生がつくる多様な生態系の破壊
虫を食べる植物、その機構の謎解き始まる
トウガラシを「hot」と言った鋭い感覚
本当の賢さを動物に学ぶ
ネコでの実験から始まる――脳科学から人間の「意識」にどう近づくか 1
サルからヒトでのMRI――脳科学から人間の「意識」にどう近づくか 2
2 生きものの長い時間をたどる
38億年の「生きている」と一生の「生きる」
イチジクコバチが熱帯雨林をつくる
進化の不思議――恐竜の中に鳥がいる
眼とあご――積極性の始まり
深海に生きものの起源を探る――常識を変え続ける生きもの
地球の不思議――マントルまで続く? 生態系
生物の歴史は絶滅の歴史とも言える
地球の生命を支える熱帯雨林
生きものの上陸――緑豊かな高木の森が存在するのは
日本の可能性を思わせる稲の伝来
10年間に6センチの土――ダーウィンのミミズ観察 1
ミミズは考えている――ダーウィンのミミズ観察 2
生命の起源――生命誕生は高温の深海か
マンモスが走る地球になるか
生きものが絶滅しない環境を――博物館の地下から考える
モラルと歴史――人類すべてを一集団とするモラルを求める
3 ウイルスから宇宙へ
細菌に近い巨大ウイルス――ウイルスは生きものか
南方熊楠による研究――粘菌、その多細胞化と知性
菌も身の内、を知るべしです
ばい菌とワクチン――長い歴史をもつ自然免疫
宇宙を構成する物質――「わけがわからない」が大量に
組換えDNA技術――細菌の免疫能を編集へとつなぐ
遺伝子と病気――遺伝子決定論からの卒業を
オートファジーは細胞のリサイクル機能
「生きものらしさ」の一つとしての死
個としての細胞と全体の一部としての細胞
細胞接着分子の発見物語で研究の本質を
寿命遺伝子とカロリー制限
最小のバクテリア・マイコプラズマ――期待と恐さが同居する「合成生物学」
小惑星の衝突――わからないことはわからないという話
4 人体の不思議に迫る
時計遺伝子があらゆる体細胞に――末梢が全体を調節するのかも
アインシュタインの脳はどこが違うのか
シュワン細胞の発見――若者を生かす難しさ
第二の脳・腸の細菌――調べるほどに、腸は脳に近く
神経免疫学――脳のはたらきにも関わる免疫
リスクに対する最適な備え――神経から免疫へのはたらきかけ
エボラウイルスの迅速診断――ウイルス病で知る地道な研究の先端性
グリア細胞とニューロン――やっとわかってきた食塩と血圧の関係
ゲノム編集を赤ちゃん誕生につなげるとは 1
ゲノム編集を赤ちゃん誕生につなげるとは 2
人間の眠りと遺伝子――寝てばかりいるマウスは見つかったけれど
「睡眠負債」はどれくらい眠ると解消されるのか
文法を司る脳の場所――新しい言葉を覚えたくなる発見
一人一人に応じてつくられ、はたらくタンパク質
おわりに――生きものか機械かの選択、滅びへの道を避けて
Ⅱ 〈講演〉いのち愛づる生命誌――私たちの中の私
あとがき
はじめに――昆虫もラジオも
1 身近な生きものたちを見つめて
「自然を見なさい」と語るムシ
子孫を残すためのしくみ
タコがすごい!――タコの祖先はアンモナイト
擬態に再生にと忙しいナナフシ
海の棲みやすさを選んだ肺魚
サンゴと藻の共生がつくる多様な生態系の破壊
虫を食べる植物、その機構の謎解き始まる
トウガラシを「hot」と言った鋭い感覚
本当の賢さを動物に学ぶ
ネコでの実験から始まる――脳科学から人間の「意識」にどう近づくか 1
サルからヒトでのMRI――脳科学から人間の「意識」にどう近づくか 2
2 生きものの長い時間をたどる
38億年の「生きている」と一生の「生きる」
イチジクコバチが熱帯雨林をつくる
進化の不思議――恐竜の中に鳥がいる
眼とあご――積極性の始まり
深海に生きものの起源を探る――常識を変え続ける生きもの
地球の不思議――マントルまで続く? 生態系
生物の歴史は絶滅の歴史とも言える
地球の生命を支える熱帯雨林
生きものの上陸――緑豊かな高木の森が存在するのは
日本の可能性を思わせる稲の伝来
10年間に6センチの土――ダーウィンのミミズ観察 1
ミミズは考えている――ダーウィンのミミズ観察 2
生命の起源――生命誕生は高温の深海か
マンモスが走る地球になるか
生きものが絶滅しない環境を――博物館の地下から考える
モラルと歴史――人類すべてを一集団とするモラルを求める
3 ウイルスから宇宙へ
細菌に近い巨大ウイルス――ウイルスは生きものか
南方熊楠による研究――粘菌、その多細胞化と知性
菌も身の内、を知るべしです
ばい菌とワクチン――長い歴史をもつ自然免疫
宇宙を構成する物質――「わけがわからない」が大量に
組換えDNA技術――細菌の免疫能を編集へとつなぐ
遺伝子と病気――遺伝子決定論からの卒業を
オートファジーは細胞のリサイクル機能
「生きものらしさ」の一つとしての死
個としての細胞と全体の一部としての細胞
細胞接着分子の発見物語で研究の本質を
寿命遺伝子とカロリー制限
最小のバクテリア・マイコプラズマ――期待と恐さが同居する「合成生物学」
小惑星の衝突――わからないことはわからないという話
4 人体の不思議に迫る
時計遺伝子があらゆる体細胞に――末梢が全体を調節するのかも
アインシュタインの脳はどこが違うのか
シュワン細胞の発見――若者を生かす難しさ
第二の脳・腸の細菌――調べるほどに、腸は脳に近く
神経免疫学――脳のはたらきにも関わる免疫
リスクに対する最適な備え――神経から免疫へのはたらきかけ
エボラウイルスの迅速診断――ウイルス病で知る地道な研究の先端性
グリア細胞とニューロン――やっとわかってきた食塩と血圧の関係
ゲノム編集を赤ちゃん誕生につなげるとは 1
ゲノム編集を赤ちゃん誕生につなげるとは 2
人間の眠りと遺伝子――寝てばかりいるマウスは見つかったけれど
「睡眠負債」はどれくらい眠ると解消されるのか
文法を司る脳の場所――新しい言葉を覚えたくなる発見
一人一人に応じてつくられ、はたらくタンパク質
おわりに――生きものか機械かの選択、滅びへの道を避けて
Ⅱ 〈講演〉いのち愛づる生命誌――私たちの中の私
あとがき
関連情報
「生命誌研究館」という新しい知を創りだす場を創設し、まず、オサムシや藻に始まり、チョウ、クモ、ハチ、イモリなど小さな生きものたちが生きている姿を見つめ、彼らが語る物語の中で“生きている”を感じるところから始めた。以来30年近い時間が流れた。
生命科学は、生命とあるからには“生きている”を見つめているはずなのだが、実はそうではないところが多々ある。問題は“生命”という名詞にある。名詞は、明確な概念を示しているようで、むしろ既成概念の中で思考を停止させるところがある。それに比べて、動詞は具体を考えさせる。本書は、生命でなく“生きている”“生きる”という動きから生まれる物語を綴ったものである。
(本文より)
生命科学は、生命とあるからには“生きている”を見つめているはずなのだが、実はそうではないところが多々ある。問題は“生命”という名詞にある。名詞は、明確な概念を示しているようで、むしろ既成概念の中で思考を停止させるところがある。それに比べて、動詞は具体を考えさせる。本書は、生命でなく“生きている”“生きる”という動きから生まれる物語を綴ったものである。
(本文より)
著者紹介
●中村桂子(なかむら・けいこ)
1936年東京生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。理学博士。東京大学大学院生物化学科修了、江上不二夫(生化学)、渡辺格(分子生物学)らに学ぶ。国立予防衛生研究所をへて、1971年三菱化成生命科学研究所に入り(のち人間・自然研究部長)、日本における「生命科学」創出に関わる。しだいに、生物を分子の機械ととらえ、その構造と機能の解明に終始することになった生命科学に疑問をもち、ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く新しい知「生命誌」を創出。その構想を1993年、「JT生命誌研究館」として実現、副館長(~2002年3月)、館長(~2020年3月)を務める。早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授などを歴任。
著書に『生命誌の扉をひらく』(哲学書房)『ゲノムが語る生命』『「ふつうのおんなの子」のちから』(集英社)『生命誌とは何か』(講談社)『生命科学者ノート』(岩波書店)『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫)『絵巻とマンダラで解く生命誌』『こどもの目をおとなの目に重ねて』(青土社)『いのち愛づる生命誌』(藤原書店)他多数。現在、『中村桂子コレクション・いのち愛づる生命誌』全8巻(藤原書店)刊行中。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです
1936年東京生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。理学博士。東京大学大学院生物化学科修了、江上不二夫(生化学)、渡辺格(分子生物学)らに学ぶ。国立予防衛生研究所をへて、1971年三菱化成生命科学研究所に入り(のち人間・自然研究部長)、日本における「生命科学」創出に関わる。しだいに、生物を分子の機械ととらえ、その構造と機能の解明に終始することになった生命科学に疑問をもち、ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く新しい知「生命誌」を創出。その構想を1993年、「JT生命誌研究館」として実現、副館長(~2002年3月)、館長(~2020年3月)を務める。早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授などを歴任。
著書に『生命誌の扉をひらく』(哲学書房)『ゲノムが語る生命』『「ふつうのおんなの子」のちから』(集英社)『生命誌とは何か』(講談社)『生命科学者ノート』(岩波書店)『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫)『絵巻とマンダラで解く生命誌』『こどもの目をおとなの目に重ねて』(青土社)『いのち愛づる生命誌』(藤原書店)他多数。現在、『中村桂子コレクション・いのち愛づる生命誌』全8巻(藤原書店)刊行中。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです