都市と文明(全3分冊)――文化・技術革新・都市秩序 3

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  • ピーター・ホール 著
  • 佐々木雅幸 監訳
  • A5上製 768頁 口絵16頁
    ISBN-13: 9784865783346
    刊行日: 2022/4

都市計画の大家による最高の都市論、完結!

上下水道・公衆衛生・住宅・鉄道・高速道路等のインフラ、および行財政など、発展を維持する基盤としての「都市秩序」に注目し、古代ローマ、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ストックホルムを分析。都市の新たな黄金時代を展望する完結篇。


目次

第Ⅳ部 都市秩序の確立
 21 都市秩序への挑戦
 22 帝国の首都――ローマ 紀元前50-紀元150年
 23 功利主義都市――ロンドン 1825-1900年
 24 永遠に続く公共事業都市――パリ 1850-70年
 25 近代の神格化――ニューヨーク 1880-1940年
 26 高速道路都市――ロサンゼルス 1900-80年
 27 社会民主主義のユートピア――ストックホルム 1945-80年
 28 自由奔放な資本主義の首都――ロンドン 1979-93年
 29 都市秩序の達成
第Ⅴ部 芸術、技術と組織の融合
 30 来るべき黄金時代の都市

監訳者あとがき(佐々木雅幸)
第Ⅲ分冊原注
人名索引
地名・事項索引

関連情報

都市において秩序を確立し、道を清掃してごみを回収し、犯罪を取り締まることは、市民の活動力を大量に消費する。都市における創造性の大部分、最も独創的で創造的な市民の創意は、このような基本的な問題解決に費やされてきた。
それは、つまらない部分とも言えるかもしれない。しかし、そのような理解はこの活動を不当に誹謗している。なぜなら、芸術、技術、産業組織と同様に、この活動においても都市の創造的精神が羽ばたいているからだ。ローマの導水橋と噴水、パリの大通り、ニューヨークの橋と高層ビル、ロサンゼルスの高速道路は、偉大な応用芸術の地位を獲得している。さらに、社会全体の真髄とその時代の哲学が都市とそこにおける建物に体現される場合がある。ローマ帝国の記念碑は、カエサルの力の化身であり、ヴィクトリア朝の救貧院や刑務所は、ベンサムの功利主義の物理的表現である。20世紀中期ストックホルムの衛星都市がスウェーデンの社会民主主義の縮図であったように、ロンドンのアイル・オブ・ドッグズはサッチャリズムという政治哲学のふさわしい象徴であろう。
(第21章「都市秩序への挑戦」より)

著者紹介

●ピーター・ホール(Sir Peter Hall, 1932-2014)
都市計画家,地理学者。英国学士院会員。元ロンドン大学バートレット校の都市計画・都市再生学科教授。イギリスの都市・農村計画協会,地域研究協会の会長を歴任。1998年にナイトの称号を授与される。
ケンブリッジ大学で地理学の修士号(1957年)および博士号(1959年)を取得し,ロンドン大学スクール・オブ・エコノミクス,レディング大学(1968~88年,都市・地域学学部長),カリフォルニア大学バークレー校(1980~92年,都市・地域計画学部名誉教授)で教鞭をとる。1991~94年には英国環境大臣のための戦略的プランニングの特別顧問を務め,テムズ河ゲートウェイ,英仏海峡トンネルなどを含むロンドンおよび南東部の地域計画問題を担当。1998~99年副首相の都市問題分科会,2006年プランニング・システムのバーカー報告に対する特別諮問委員会,2008年エコタウン・チャレンジ・パネルのメンバー。2009年から総額2200万ユーロを費やしたSINTROPHER(ヨーロッパ周辺地域の発展助成を目的として「トラムトレイン」を中心とする新交通の技術移転促進を行うEUプログラム)の総指揮をとった。
都市および地域計画,その関連テーマで,The World Cities (World University Library, Weidenfeld & Nicolson, 1966/1977/1983),Urban and Regional Planning (Penguin, 1975/1982/2002),Cities of Tomorrow (Blackwell Publishing, 1988),Technopoles of the World (マニュエル・カステルとの共著,Routledge, 1994),Urban Future 21 (ウルリヒ・プファイファーとの共著,Routledge, 2000),The Polycentric Metropolis (キャシー・ペインとの共著,Earthscan, 2006)など,著作・監修は40冊近くに及ぶ。

【監訳者】
●佐々木雅幸(ささき・まさゆき)
1949年名古屋市生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。専攻は文化経済学、都市経済学。金沢大学教授、立命館大学教授、大阪市立大学教授、同志社大学特別客員教授などを経て、現在、大阪市立大学名誉教授、金沢星陵大学特任教授。文化庁地域文化創生本部文化創造アナリスト。一般社団法人創造都市研究所・代表理事。創造都市研究の世界的リーダーで、ユネスコ創造都市ネットワークのアドバイザーも務める。
著作に『創造都市の経済学』(勁草書房、1997年)『創造都市への挑戦』(岩波現代文庫、2012年)、編著に『沖縄21世紀への挑戦』(岩波書店、2000年)『創造都市と社会包摂』(水曜社、2009年)『創造農村』(学芸出版社、2014年)『創造社会の都市と農村』(水曜社、2019年)など多数。

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです

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