- 石牟礼道子 著
- [解説]臼井隆一郎
- A5上製貼函入布クロス装 602頁
ISBN-13: 9784894348578
刊行日: 2012/7
石牟礼道子がめざした「最後の人」高群逸枝。
「わたしは彼女(高群逸枝)をみごもり/
彼女はわたしをみごもり/つまりわたしは 母系の森の中の 産室にいるようなものだ」
(石牟礼道子)
目次
一 最後の人
二 関連エッセイ
三 エッセイ/講演/対談 2001-2002
解説「詩の母系」 (臼井隆一郎)
あとがき (石牟礼道子)
後記
第1章 森の家
第2章 残 像
第3章 霊の恋
第4章 鏡としての死
[補]森の家日記
第2章 残 像
第3章 霊の恋
第4章 鏡としての死
[補]森の家日記
「最後の人」覚え書――橋本憲三氏の死
朱をつける人――森の家と橋本憲三
朱をつける人――森の家と橋本憲三
二 関連エッセイ
高群全集に思う
高群逸枝のまなざし
橋本憲三先生の死
高群逸枝全詩集『日月の上に』
夢の中のノート
『高群逸枝雑誌』終刊号「編集室メモ」より
本能としての詩・そのエロス
女性の中の原宗教――詩人・高群逸枝さんのこと
お寺のまわり
塞の神
ご命日
日月の愁い
妻という芸術家
お国のために
気品高い生きものの母
らいてうさん・逸枝さん
風土と学問と詩と
歴史の呼び声
表現の呪力――文学の立場から
高群逸枝のまなざし
橋本憲三先生の死
高群逸枝全詩集『日月の上に』
夢の中のノート
『高群逸枝雑誌』終刊号「編集室メモ」より
本能としての詩・そのエロス
女性の中の原宗教――詩人・高群逸枝さんのこと
お寺のまわり
塞の神
ご命日
日月の愁い
妻という芸術家
お国のために
気品高い生きものの母
らいてうさん・逸枝さん
風土と学問と詩と
歴史の呼び声
表現の呪力――文学の立場から
三 エッセイ/講演/対談 2001-2002
解説「詩の母系」 (臼井隆一郎)
あとがき (石牟礼道子)
後記
関連情報
●本全集の特徴
●『石牟礼道子全集』を推す
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/
志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/
筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)
●本全集を読んで下さる方々に
わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。
生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。
こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。
「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。
「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。
2004年3月31日
●特別愛蔵本のお知らせ
人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。
●全巻購入者特典
全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。
1. 『苦海浄土』を始めとする著者の全作品を年代順に収録。従来の単行本に、未収録の新聞・雑誌等に発表された小品・エッセイ・インタヴュー・対談まで、原則的に年代順に網羅。
2. 人間国宝の染織家・志村ふくみ氏の表紙デザインによる、美麗なる豪華愛蔵本。
3. 各巻の「解説」に、その巻にもっともふさわしい方による文章を掲載。
4. 各巻の月報に、その巻の収録作品執筆時期の著者をよく知るゆかりの人々の追想ないしは著者の人柄をよく知る方々のエッセイを掲載。
5. 別巻に、著者の年譜、著者リストを付す。
●『石牟礼道子全集』を推す
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/
志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/
筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)
●本全集を読んで下さる方々に
わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。
生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。
こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。
「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。
「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。
2004年3月31日
石牟礼道子
●特別愛蔵本のお知らせ
人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。
●全巻購入者特典
全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。