- 石牟礼道子 著
- [詳伝年譜]渡辺京二
- A5上製貼函入布クロス装 472頁
ISBN-13: 9784894349704
刊行日: 2014/5
石牟礼道子はいかにして石牟礼道子になったか
「母はるのは、『宮野河内の人方の御恩を忘れまいぞ』と言い続けて亡くなった。私がかの地で生まれた時、村をあげて誕生祝いをしていただいたのだそうだ。」
(石牟礼道子)
目次
Ⅰ 葭の渚 石牟礼道子自伝
第一部
第二部
第三部
第四部
あとがき
Ⅱ 詳伝年譜(1969-2013) 渡辺京二
Ⅲ 資料
後記
あとがき
年譜(1927- )
第一部
1 水俣の栄町での日々
2 父祖の地・天草
3 祖父・松太郎と事業の夢
4 祖母・おもかさま
2 父祖の地・天草
3 祖父・松太郎と事業の夢
4 祖母・おもかさま
第二部
5 天草を遡る旅
6 「末廣」のすみれの悲劇
7 水俣川河口に移り住む
8 原郷としての不知火海
9 戦争の影
6 「末廣」のすみれの悲劇
7 水俣川河口に移り住む
8 原郷としての不知火海
9 戦争の影
第三部
10 実務学校期
11 代用教員期
12 終戦と戦災孤児
13 葛渡小学校勤務
14 弟の心境
15 結婚と厳しい生活環境
16 歌人・志賀狂太の運命
11 代用教員期
12 終戦と戦災孤児
13 葛渡小学校勤務
14 弟の心境
15 結婚と厳しい生活環境
16 歌人・志賀狂太の運命
第四部
17 サークル村への参加と水俣病との出会い
18 西南の役から近代日本を考える
19 高群逸枝著作および橋本憲三氏との出会い
20 田上義春さんのこと
21 水俣の奇病を問いつつ
22 道行きのえにしはまぼろしふかくして
18 西南の役から近代日本を考える
19 高群逸枝著作および橋本憲三氏との出会い
20 田上義春さんのこと
21 水俣の奇病を問いつつ
22 道行きのえにしはまぼろしふかくして
あとがき
Ⅱ 詳伝年譜(1969-2013) 渡辺京二
Ⅲ 資料
後記
あとがき
年譜(1927- )
関連情報
●本全集の特徴
●『石牟礼道子全集』を推す
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/
志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/
筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)
●本全集を読んで下さる方々に
わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。
生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。
こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。
「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。
「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。
2004年3月31日
●特別愛蔵本のお知らせ
人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。
●全巻購入者特典
全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。
1. 『苦海浄土』を始めとする著者の全作品を年代順に収録。従来の単行本に、未収録の新聞・雑誌等に発表された小品・エッセイ・インタヴュー・対談まで、原則的に年代順に網羅。
2. 人間国宝の染織家・志村ふくみ氏の表紙デザインによる、美麗なる豪華愛蔵本。
3. 各巻の「解説」に、その巻にもっともふさわしい方による文章を掲載。
4. 各巻の月報に、その巻の収録作品執筆時期の著者をよく知るゆかりの人々の追想ないしは著者の人柄をよく知る方々のエッセイを掲載。
5. 別巻に、著者の年譜、著者リストを付す。
●『石牟礼道子全集』を推す
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/
志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/
筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)
●本全集を読んで下さる方々に
わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。
生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。
こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。
「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。
「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。
2004年3月31日
石牟礼道子
●特別愛蔵本のお知らせ
人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。
●全巻購入者特典
全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。